政策

労働政策研究会議(続3)

さて昨日の続きで午後のパネルの感想を書いていきたいと思います。3番目に登場されたのはJILPTの堀有喜衣先生で、先生ご自身も参加されたJILPTの調査結果をもとに、前の2先生から一転して高卒者の就職指導について報告されました。 まず、従来一般的とされて…

労働政策研究会議(続2)

間があきましたが6月18日に開催された労働政策研究会議の感想です。午後は小杉礼子先生の司会、明治の永野仁先生、慶応の太田聰一先生、JILPTの堀有喜衣先生、明治学院の両角道代先生のパネルで「若年雇用をめぐる政策課題」が論じられました。 まず永野先生…

非正規雇用のビジョンに関する懇談会

昨日、厚生労働省の「非正規雇用のビジョンに関する懇談会」の第1回が開催されたようです。これがおそらく6月3日のエントリ(http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20110603#p1)で取り上げた「社会保障改革に関する集中検討会議」の社会保障改革案の中にあった「…

労働政策研究会議(続)

きのうの続きで、労働政策研究会議の感想を書いていきたいと思います。個別報告セッションの3番めは、同志社大学社会学部助教の森山智彦先生による「職歴・ライフコースが貧困リスクに及ぼす影響」でした。 これは2005年と1995年のSSM調査を用いて、学歴、初…

労働政策研究会議

6月18日に開催された労働政策研究会議(日本労使関係研究協会大会)に参加してまいりました。昨年までは労働政策研究・研修機構の霞ヶ関連絡事務所で開催されていたのですが同事務所が事業仕分けで廃止となり、今年は東大の小島ホールでの開催となりました。…

田中萬年先生のSAYYESプログラム

6月10日のエントリに田中萬年先生からトラックバックをいただいて泡を吹いてうろたえる私。hamachan先生のところを経由して来られたらしいのですが、このところのこのブログは田中先生にごらんいただくにはずいぶん下品だなあと反省することしきり。日記で晴…

なぜ今なのか

きのうのエントリで「高年齢者雇用については明日書く」と書いたのですが、この件は先月かなり長々と書いています(5月11日のエントリ以降)ので、そこでは触れられなかった内容を中心に書きたいと思います。 まず私の基本的な考え方を繰り返しておきますと…

若年はやはり怒っておいたほうが

6月10日のエントリ(http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20110610#p1)にhamachan先生からトラックバックを頂戴しましたので、お返事を。 …労務屋さんがこれにコメントされているのを見て、一応この段階でもひと言だけコメントすることにしました。というのも、…

労働政策を考える(24)高年齢者雇用

「賃金事情」2603号(2011年3月5日号)に寄稿したエッセイを転載します。 昨年11月、厚生労働省の「今後の高年齢者雇用に関する研究会」がスタートしました。開催要綱によれば、主たる問題意識は「公的年金支給開始年齢(報酬比例部分)の65歳への引上げが開…

高年齢者雇用研究会報告書案

先日「たたき台」をご紹介した(http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20110511、http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20110512、http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20110513)厚労省の高年齢者雇用研究会報告ですが、フルテキストの報告書案が厚労省のサイトに掲載されて…

社会保障改革に関する集中検討会議の改革案

消費税増税の話は月末に既報されていることもあり、政局の見苦しいゴタゴタの前にすっかり影が薄くなっていますが、きのう開催された「社会保障改革に関する集中検討会議」に社会保障改革案が提示されました。内閣官房のウェブサイトに掲載されています。 ht…

経済学者による復興政策提言

本日の日経「経済教室」で、伊藤隆敏・伊藤元重両先生が「「現代経済研究グループ」のメンバーを中心に経済学者11人」の意見ということで、震災復興政策を提言しておられますので、少し感想を書いてみたいと思います。残り9人は浦田秀次郎・大竹文雄・齊藤誠…

キャリア「段位」への違和感

今朝の日経新聞で小さく報じられていました。 政府は18日の緊急雇用対策本部の分科会で、職業ごとの人材の知識や能力を公的に証明する新資格「キャリア段位制度」を新設することを決めた。第1弾は将来、成長が見込まれる「温暖化ガス削減指導」「農商工連携…

高年齢者雇用研究会報告たたき台(続2)

さて一昨日・昨日と厚生労働省高年齢者雇用研究会の報告書たたき台について書いてきました。たしかに現実に2013年から老齢厚生年金の支給開始年齢引き上げが始まる中でなんらかの無年金者対策が必要であり、それが働く場の確保を通じて行われることが望まし…

高年齢者雇用研究会報告たたき台(続)

もう一日厚労省の高年齢者雇用研究会を取り上げたいと思います。今回は報告書のたたき台で触れられていないポイントで、一昨日ご紹介した日経新聞の記事でも触れられていた「若年雇用に悪影響が出る可能性もある」という点です。「たたき台」では最初に「少…

高年齢者雇用研究会報告たたき台

昨日取り上げた高年齢者雇用研究会の資料が、昨日のうちに厚労省のサイトに掲載されておりました。 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001bmon-att/2r9852000001bn1i.pdf 想像していたような出来上がった報告書案ではなく、要約的なたたき台となっ…

高年齢者雇用研究会の報告書案

昨日厚生労働省で「第4回今後の高年齢者雇用に関する研究会」が開催され、報告書案の提示があったようです。今朝の日経新聞から。 厚生労働省は9日、有識者による高齢者雇用の研究会を開き、法律で決めた定年を60歳から65歳に引き上げる提言を盛り込んだ報…

平成23年度厚生労働省の目標

先週の木曜日(28日)に「平成23年度厚生労働省の目標」が発表されました。 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001atv9-att/2r9852000001atwz.pdf 最初の正直な感想はもう長妻大臣いないんだからやめちゃえばいいのにというものだったのですが、そ…

労働政策を考える(23)多様な正社員

「賃金事情」2601号(2011年2月5日号)に寄稿したエッセイを転載します。 http://www.e-sanro.net/sri/books/chinginjijyou/a_contents/a_2011_02_01_H1_P3.pdf 昨年(2010年)7月、厚生労働省の雇用政策研究会報告「持続可能な活力ある社会を実現する経済・…

それって?

毎週月曜日の日経新聞朝刊に掲載されている「法務」のコーナーで、労働法制が取り上げられています。「人を生かす法律 震災後の時代に」とのタイトルで(上)とありますので、あと1回か2回は続くのでしょう。本日「上」のお題は「若者の正社員化、春の兆し…

一律規制の非(2)

一昨日の続きで、中部産政研の機関誌「産政研フォーラム」に掲載された小嶌典明先生の論考をご紹介していきたいと思います。次は派遣労働が取り上げられます。 http://www.sanseiken.or.jp/forum/89-tokusyuu1.html …図2をみると、最近における不可解ともい…

一律規制の非(1)

続く特集は「仕組みを創る」ということで、労働法学者がお二方登場します。後の方のエッセイでは土田道夫先生も登場しておられます(これは残念ながらウェブでは読めませんが)ので、今号は労働法学者が多いですね。 まずは数少ない規制緩和派の労働法学者の…

震災と労働市場改革

震災以降、3月23日予定の労働政策審議会が中止となるなど、労働政策関連の厚生労働省の審議会・研究会なども一時ストップしていましたが、先月末から徐々に動き始めているようです。まあ震災前に成立していた法改正などに関する政省令の諮問答申とか、各種基…

Cash for Work

関西大学の永松伸吾先生が、復興の手法としてCash for Workプログラムを提唱しておられます。「被災者を復旧・復興事業に雇用して、賃金を支払うことで被災者の自立支援につなげる方法」とのことで、過去に海外の大規模災害で実施されているそうです。 http:…

安藤説と八代説・大竹説はどれほど違うのか?

安藤至大先生が解雇規制についてツイッター上で精力的な啓蒙活動を続けておられます。OECDの対日報告書をふりかざして「あなたの見解はこれとは異なる」といった議論をふっかけてくるような人たちにも誠実に対応しておられる安藤先生のご尽力と寛大さ・…

パート労働研究会はじまる

厚生労働省に「今後のパートタイム労働対策に関する研究会」が設置され、昨日第1回会合が開催されたそうです。座長は学習院大学の今野浩一郎先生です。 当日資料をみると、設立の趣旨は …(引用者注:改正パート法)附則第7条において、「政府は、この法律の…

野川 vs 安藤 Blog (仮)

先日、http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20110118#p2やhttp://d.hatena.ne.jp/roumuya/20110119#p1でご紹介したツイッター上のやりとりが契機となって、労働法学者の野川忍先生と労働経済学者の安藤至大先生の対論ブログがスタートしたそうです。 http://nogaw…

労働政策を考える(22)有期労働契約の均衡待遇

昨日に続き、「賃金事情」第2598号に寄稿したエッセイを転載します。 http://www.e-sanro.net/sri/books/chinginjijyou/a_contents/a_2010_12_05_H1_P3.pdf さる10月26日に労働政策研究会労働条件分科会が開催され、有期労働契約についての公労使三者による…

労働政策を考える(21)有期労働契約の出口規制

「賃金事情」第2596号に寄稿したエッセイを転載します。 http://www.e-sanro.net/sri/books/chinginjijyou/a_contents/a_2010_11_05_H1_P3.pdf 前回も取り上げましたが、この9月10日に厚生労働省の「有期労働契約研究会」の報告書が発表されました。本稿が掲…

雇用戦略対話の政労使合意

さて雇用戦略対話の合意についてですが、『雇用戦略・基本方針2011』と銘打たれているとおり、基本方針であって具体策やその細部は判然としませんので、まあなんともいえないかなという感じですが、感想を少々。 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/koyoutaiw…