2006-11-01から1ヶ月間の記事一覧

労働契約法はどこへ行く その3

解雇の金銭解決は、またしても先送りになってしまうようです。 先般の労基法改正の際に導入される予定で、審議会の建議にまでなったものが結局法制化されず、今回こそはというところではなかったかと思うのですが…。 (3) 解雇に関する労働関係紛争の解決方法…

労働契約法はどこへ行く その2

きのうの続きです。それにしても、昨年出された研究会報告が膨大な内容を含んでいたことを思うと、今回のペーパーはずいぶん軽量になったものだという印象があります。もともと、どう考えても来年の通常国会に間に合わせるのは時間的に無理があった感がある…

労働契約法はどこへ行く

先週火曜日の労働条件分科会で、「今後の労働契約法制について検討すべき具体的論点(1)(素案)」が示されましたので、見ていきたいと思います。 1 労働契約の成立及び変更について (1) 合意原則 労働契約は、労働者及び使用者の合意によって成立し、又は変…

賃金出し惜しみの構造、ねぇ。

今朝の日経新聞の社説は、全欄を使って「賃金出し惜しみの構造どう脱するか」と題して論じています。 「いざなぎ景気」を超えて4年10カ月続いた景気拡大をこのまま持続できるかどうか。米国経済の減速などで輸出環境の先行きが怪しくなる中で、個人消費の動…

労働時間制度に関する経済同友会の見解

21日の労働条件分科会で労働契約法についても素案が出てきましたので、それに対するコメントも書いていきたいところですが、同じ日に労働法制に関する経済同友会の提言もタイミングよく出てきましたので、労働契約法の話の前に、先日連載した労働時間法制の…

パート労働法 その5

今日で最後になります。均衡処遇以外の論点についてです。 3 通常の労働者への転換 指針においては、通常の労働者への転換のための措置を講ずるよう努めるものとしているところであるが、以下のような実施状況も勘案し、今後のあり方をどのように考えるか。…

パート労働法 その4

今日は教育訓練と福利厚生に関する均衡処遇です。 <教育訓練> 指針においては、教育訓練について、短時間労働者の就業の実態に応じて実施するよう努めるものとしているところである。その種類は、職務・職種別の研修、法令遵守・企業倫理研修など様々であ…

パート労働法 その3

今日は賞与・退職金・諸手当の均衡処遇をとりあげます。均衡のあり方は、それぞれに異なってくるでしょう。 短時間労働者に対する賞与支給制度の適用については、通常の労働者と比較して以下のような実施状況にある。このような現状も勘案し、均衡処遇のあり…

パート労働法 その2

きのうの続きで、問題の「均衡処遇」についてです。「均衡」というのは「均等」とは異なり、一定の格差を容認することが前提になっていますので、あとは「均衡」をはかる相手をどう考えるか、というところだろうと思います。基本は言うまでもなく「同じもの…

パート労働法

きのうまで労働条件分科会での議論を取り上げてきましたが、雇用均等分科会ではパート労働法改正の議論が進められています。こちらもすでに「今後のパートタイム労働対策に向けての論点整理(案)」が提示されていますので、これまた何回かのシリーズでその…

退職理由の本音と建前

社員が退職を申し出てきたときに、それを慰留した経験を持つ人事担当者は多いのではないでしょうか。その際に当然退職理由を訊ねるわけですが、退職者は本当の理由より「退職を受け入れてもらえそうな理由」をあげる傾向があり、必ずしも本音の理由を言うわ…

さらに続き

さらにきのうに続いて、10日の労政審労働条件分科会に提示された資料の残りの部分をみてみたいと思います。 ○時間外労働削減のための法制度の整備1.時間外労働の限度基準 (1)限度基準において、労使自治により、特別条項付き協定を締結する場合には延長時間…

10日の続き

先週金曜日の労政審労働条件分科会の資料ですが、「自由度の高い」以外にも注目すべき内容を含んでいます。やはり抜き書きしてみましょう。 ○企画業務型裁量労働制の見直し(1)中小企業については、労使委員会が決議した場合には、現行において制度の対象業務…

自由度の高い働き方にふさわしい制度

新聞紙上でもけっこう大きく取り上げられていますが、今日の労政審労働条件分科会でホワイトカラー・エグゼンプションについてかなり具体的な資料が提示されました。「自律的」から「自由度の高い」に変わっているのは濱口先生の意見に近いですね。 まず資料…

日本キャリアデザイン学会研究大会

10月27・28・29日に開催された日本キャリアデザイン学会の研究大会に参加してまいりました。とはいっても、27日のエクスカーションと29日のシンポジウムには本業の都合で参加できず、出席したのは27日の理事会と28日の午前・午後の各1セッション、および総…

キャリア辞典「最低賃金(2)」

キャリアデザインマガジンに書いたコラムの転載です。「最低賃金」は、職種別設定賃金を中心にもう一回書く予定です。 最低賃金(2) 最近の動きとは別に、最低賃金(最賃)制度についてはかねてからさまざまな問題意識が示されており、すでに一昨年9月に…

城繁幸『若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来』

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)作者: 城繁幸出版社/メーカー: 光文社発売日: 2006/09/15メディア: 新書購入: 17人 クリック: 447回この商品を含むブログ (613件) を見るキャリアデザインマガジンのために書いた書評です。…

減少する新卒無業

日曜日の日経新聞によると、大学新卒でフリーターやニートになる人が減少しているそうです。 企業が新卒の積極採用に乗り出したのを受け、定職を持たない若年の「フリーター」や、働く意思がなく教育も受けていない「ニート」になる人が減っている。2006年春…

ところで、成果主義は本当に格差を拡大させるのか?その4

単純化した例で説明しましょう。勤続1年の人が3人、2年の人が3人、3年の人が3人、合計9人の企業を考えます。賃金は勤続1年で日給1万円、2年で2万円、3年で3万円で、同期で差のつかない、非常に年功的なものだとします。一覧表にすれば、こうい…

均衡失業率

今朝の日経新聞は、労働需要が旺盛なのに失業率が低下しないことについて、均衡失業率が上昇している可能性を指摘しています。 失業には、景気低迷による企業の採用減などが原因の「需要不足失業」と、景気の変動とは無関係で雇用のミスマッチなどが主因の「…