2006-01-01から1年間の記事一覧

パート労働法 その3

今日は賞与・退職金・諸手当の均衡処遇をとりあげます。均衡のあり方は、それぞれに異なってくるでしょう。 短時間労働者に対する賞与支給制度の適用については、通常の労働者と比較して以下のような実施状況にある。このような現状も勘案し、均衡処遇のあり…

パート労働法 その2

きのうの続きで、問題の「均衡処遇」についてです。「均衡」というのは「均等」とは異なり、一定の格差を容認することが前提になっていますので、あとは「均衡」をはかる相手をどう考えるか、というところだろうと思います。基本は言うまでもなく「同じもの…

パート労働法

きのうまで労働条件分科会での議論を取り上げてきましたが、雇用均等分科会ではパート労働法改正の議論が進められています。こちらもすでに「今後のパートタイム労働対策に向けての論点整理(案)」が提示されていますので、これまた何回かのシリーズでその…

退職理由の本音と建前

社員が退職を申し出てきたときに、それを慰留した経験を持つ人事担当者は多いのではないでしょうか。その際に当然退職理由を訊ねるわけですが、退職者は本当の理由より「退職を受け入れてもらえそうな理由」をあげる傾向があり、必ずしも本音の理由を言うわ…

さらに続き

さらにきのうに続いて、10日の労政審労働条件分科会に提示された資料の残りの部分をみてみたいと思います。 ○時間外労働削減のための法制度の整備1.時間外労働の限度基準 (1)限度基準において、労使自治により、特別条項付き協定を締結する場合には延長時間…

10日の続き

先週金曜日の労政審労働条件分科会の資料ですが、「自由度の高い」以外にも注目すべき内容を含んでいます。やはり抜き書きしてみましょう。 ○企画業務型裁量労働制の見直し(1)中小企業については、労使委員会が決議した場合には、現行において制度の対象業務…

自由度の高い働き方にふさわしい制度

新聞紙上でもけっこう大きく取り上げられていますが、今日の労政審労働条件分科会でホワイトカラー・エグゼンプションについてかなり具体的な資料が提示されました。「自律的」から「自由度の高い」に変わっているのは濱口先生の意見に近いですね。 まず資料…

日本キャリアデザイン学会研究大会

10月27・28・29日に開催された日本キャリアデザイン学会の研究大会に参加してまいりました。とはいっても、27日のエクスカーションと29日のシンポジウムには本業の都合で参加できず、出席したのは27日の理事会と28日の午前・午後の各1セッション、および総…

キャリア辞典「最低賃金(2)」

キャリアデザインマガジンに書いたコラムの転載です。「最低賃金」は、職種別設定賃金を中心にもう一回書く予定です。 最低賃金(2) 最近の動きとは別に、最低賃金(最賃)制度についてはかねてからさまざまな問題意識が示されており、すでに一昨年9月に…

城繁幸『若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来』

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)作者: 城繁幸出版社/メーカー: 光文社発売日: 2006/09/15メディア: 新書購入: 17人 クリック: 447回この商品を含むブログ (613件) を見るキャリアデザインマガジンのために書いた書評です。…

減少する新卒無業

日曜日の日経新聞によると、大学新卒でフリーターやニートになる人が減少しているそうです。 企業が新卒の積極採用に乗り出したのを受け、定職を持たない若年の「フリーター」や、働く意思がなく教育も受けていない「ニート」になる人が減っている。2006年春…

ところで、成果主義は本当に格差を拡大させるのか?その4

単純化した例で説明しましょう。勤続1年の人が3人、2年の人が3人、3年の人が3人、合計9人の企業を考えます。賃金は勤続1年で日給1万円、2年で2万円、3年で3万円で、同期で差のつかない、非常に年功的なものだとします。一覧表にすれば、こうい…

均衡失業率

今朝の日経新聞は、労働需要が旺盛なのに失業率が低下しないことについて、均衡失業率が上昇している可能性を指摘しています。 失業には、景気低迷による企業の採用減などが原因の「需要不足失業」と、景気の変動とは無関係で雇用のミスマッチなどが主因の「…

とりあえず「労働ビッグバン」

濱口先生から出されていた宿題です。ゆっくり取り組む時間がないのですが、そろそろやらないと忘れそうなので、とりあえず直観的なところを。まずは、経済財政諮問会議の民間議員ペーパーをみますと、こうなっています。 ② 労働市場の効率化(労働ビッグバン…

鉄鋼、「継続協議」で賃上げ実施へ

週末の新聞記事から。 新日本製鉄とJFEスチールは2007年度に賃上げに踏み切る。JFEは07年度からの2年分で一人あたり換算で1500円程度とする。新日鉄は今後金額を詰める。鉄鋼大手の賃上げは六年ぶり。業績回復を背景に、国際競争力の維持・強化には人…

おしらせ(宣伝)

日経シニア・ワークライフ・フォーラムin名古屋「日経シニア・家計シンポジウム」というのに出ることになりました。 ■日時:2006年11月9日(木) ■会場:愛知厚生年金会館(愛知県名古屋市千種区池下町2-63) ■主催:日本経済新聞社 ■後援:内閣府、厚生労働…

最低賃金(1)

一昨日のエントリに続き、キャリアデザインマガジンのために書いた「キャリア辞典」を転載します。 なにせバタバタと時間がないので、このブログで扱ったネタを流用しています(笑) 最低賃金(1) このところ、日本の社会で経済格差が拡大している、あるい…

日記

きょう、会議出席のために名古屋発7:47の東京行のぞみ82号に乗ったのですが、静岡駅を過ぎたあたりで立ち往生してしまいました。下り列車で人身事故(あとで見てみたら、線路上に入り込んでいた人がはねられたらしい)があり、非常停止信号が出たので止まっ…

小島貴子『就職迷子の若者たち』

就職迷子の若者たち (集英社新書)作者: 小島貴子出版社/メーカー: 集英社発売日: 2006/09/01メディア: 新書 クリック: 37回この商品を含むブログ (31件) を見る「キャリアデザインマガジン」のために書いた書評を転載します。なかなかの良書と思います。

最低賃金は低すぎるか その2

今日は最低賃金に関するコメントへのリプライを書きます。これも「低すぎるか」というタイトルにしていますが、なにも「低すぎない」という主張をしようというわけではありません(低すぎるというつもりもありません。要するに水準の議論をする気はないので…

ところで、成果主義は本当に格差を拡大させるのか?その3

なにかとバタバタしていてブログがたまって仕方ありません(泣)。このエントリは10月30日に書いています。というわけでコメントへのリプライは本文で書かせていただきます。 まずは成果主義と格差に関するコメントへのリプライの続きです。 # ぐう 『そもそ…

思い切った正社員化

昨日の日経新聞に、またしても非典型雇用の正社員化の記事が掲載されていました。 アパレル大手が販売職の雇用形態を契約社員から正社員に切り替え始めた。婦人服のサンエー・インターナショナルでは9月から契約社員約1000人が正社員になった。ワールドも販…

育児休業給付の引き上げもいいかもしれないが

昨日の日経新聞によると、厚生労働省は少子化対策として育児休業給付の一段の引き上げを検討しているそうです。 厚生労働省は会社員の育児休業取得率を引き上げるため、2007年度から雇用保険に新たな支援制度を設ける方針を固めた。企業が育休をとる社員への…

橘木俊詔『格差社会』

格差社会―何が問題なのか (岩波新書)作者: 橘木俊詔出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2006/09/20メディア: 新書購入: 5人 クリック: 170回この商品を含むブログ (133件) を見る橘木俊詔『格差社会』の疑問点シリーズその2です。 最低賃金は低すぎるか 橘木…

若年者雇用の指針

もう1日引っ張ります(笑)。先週月曜日(6日)の雇用対策基本問題部会の会合では、その前回(9月27日開催、http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20060927で若干コメントしました)に提起された、若者の雇用について「国は事業主が適切に対処するための指針を…

雇用対策法における外国人労働者

同じネタで3日めです。外国人労働者問題を雇用保険法に書き込むこと自体は、それほど問題はないと考えるのがあるいは自然なのかもしれません。実際、日系人労働者のように深刻な実態が一部にすでに存在する問題もありますし、結局のところはこれをもとにど…

「年齢に関わりなく働き続ける」って…。

昨日のエントリの続きです。 さて、現行雇用対策法の高齢者雇用に関する記述を「発展」させて「年齢に関わりなく働き続けることができる社会の実現」と変更するというのは、かなり気になります。もちろん、これとてこれを受けて検討される具体的な施策如何で…

雇用対策法の改正

先週金曜日(6日)に労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会が開催され、その資料で、雇用保険法の見直しに関して「新たに国の講ずべき措置として規定することが考えられる事項」の案が提示されましたので、ご紹介したいと思います。 若年者対策…

ところで、成果主義は本当に格差を拡大させるのか?その2

10月6日のエントリについて、興味深いコメントをいただきました。ブログがたまってどうにもならないので(このエントリは実際には10月17日に書いています)、新たなエントリで回答することで数を稼ごうと思います(笑)。 さて、いただいたコメントは次のよ…

ところで、成果主義は本当に格差を拡大させるのか?

きのうの関連で、ちょっと議論の整理が必要かな、と思ったので。橘木先生は、成果主義が格差を拡大させることは自明であるとされているようです。 成果主義賃金が導入されれば、労働者間の賃金格差の拡大が生じます。したがって、成果主義賃金を導入する企業…