減少する新卒無業

 日曜日の日経新聞によると、大学新卒でフリーターやニートになる人が減少しているそうです。

 企業が新卒の積極採用に乗り出したのを受け、定職を持たない若年の「フリーター」や、働く意思がなく教育も受けていない「ニート」になる人が減っている。2006年春に大学を卒業してフリーター・ニートになった人は9万9千人と10万人を割り、ピークの03年の3分の2になった。

 大卒者の数自体は増えているものの、就職・進学者がそれ以上のペースで増えたのが理由で、企業が新卒者を大量採用している要因も大きい。日本経済新聞社の調査では07年春に入社予定の大卒の内定人数は前年比13.3%増と三年連続で増加。就職を希望しながら就職できず、やむを得ずフリーターやニートになる人が減っている。
 厚生労働省などの推計では、フリーターの総数は05年時点で201万人、ニート(無業者)は64万人。フリーターは03年をピークに減り始めており、就職情勢の好転で今後も減少傾向が続く公算が大きい。
 新卒者を思った通りに採用できない企業も多く、新入社員の賃金もじわりと上がりつつある。日本経団連の調べでは06年春の大卒者(事務系)の初任給は前年比0.36%上がり、上昇率は1998年以来の高水準になった。
(平成18年11月5日付日本経済新聞朝刊から)

 まあ、減ったとは言ってもまだ10万人弱で、90年代はじめには2万人程度だったことを思えば、まだまだ高水準と考えなければいけないでしょう。とはいえ、今朝の日経新聞は1面トップで、上場企業の9月中間決算が16%の経常増益となり、その内容もリストラより売上増によるものが多くなっているということですから、当面はさらに減少することが期待されます。
 初任給も上がっているということですが、0.36%とわずかなものなので、これは今年の春季労使交渉の「ベア復活」が波及したというところでしょうか。
 ただ、この増益がはたして来年のベアにつながるかというと、やや微妙なところがあるような気はします。もちろん、業績好調で人手不足なのですから、賃金は上がるのが理屈上は当然ですが、それが正社員のベアという形で上がるのかどうかはわかりません。むしろ、当面は非典型雇用の賃金が上がったり、あるいはこの記事のような非典型雇用から比較的賃金の高い正社員への移行といった形で、平均してみれば賃金が上がる、という経緯をたどるのではないかという気がします。現在の社会状況を考えれば、そのほうが正社員のベアより望ましいかもしれません。