10日の続き

先週金曜日の労政審労働条件分科会の資料ですが、「自由度の高い」以外にも注目すべき内容を含んでいます。やはり抜き書きしてみましょう。

○企画業務型裁量労働制の見直し

(1)中小企業については、労使委員会が決議した場合には、現行において制度の対象業務とされている「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務」に主として従事する労働者について、当該業務以外も含めた全体についてみなし時間を定めることにより、企画業務型裁量労働制を適用することができることとしてはどうか。
(2)事業場における記録保存により実効的な監督指導の実施が確保されていることを前提として、労働時間の状況及び健康・福祉確保措置の実施状況に係る定期報告を廃止することとしてはどうか。
(3)苦情処理措置について、健康確保や業務量等についての苦情があった場合には、労使委員会で制度全体の必要な見直しを検討することとしてはどうか。

管理監督者の明確化

(1)スタッフ職の範囲の明確化
 管理監督者となり得るスタッフ職の範囲について、ラインの管理監督者と企業内で同格以上に位置付けられている者であって、経営上の重要事項に関する企画立案等の業務を担当するものであることという考え方により明確化することとしてはどうか。
(2)賃金台帳への明示
 管理監督者である旨を賃金台帳に明示することとしてはどうか。

○事業場外みなし制度の見直し
 事業場外みなし制度について、制度の運用実態を踏まえ、必要な場合には適切な措置を講ずることとしてはどうか。

企画型の見直しは、「自由度の高い」制度が年収要件によっては中小企業ではまったく使えなくなってしまう、という意見があるので、中小企業に限って配慮しよう、ということでしょうか。たしかに、一人でいろいろなことをこなさなければならない中小企業では、企画型の業務に特化専念している人というのは少ないかもしれません。
スタッフ職管理監督者についてはなにかと不透明なことが多かったので、範囲の明確化は予測可能性を高めるという意味では望ましいことだろうと思います。「企業内で同格以上に位置付けられている」というのが具体的になにを指すのかがわかりませんので、どの程度実態に合ったものになるのかはわかりませんが、とりあえず職能資格や職務等級がライン管理職と同等以上で、賃金などの労働条件も同等以上、というくらいであれば現実的なように思います。そこに責任とか権限とかを持ち込んでくると議論が混乱しそうです。
これについては、労組のある企業では労働協約で組合員の範囲を定め、そこで管理職として非組合員となる人が自動的に労基法管理監督者となる、という事実上労使自治による運用をしているケースも多いように思います。労組法の「会社の利益を代表する者」に該当するとして労働協約で非組合員としている人は管理監督職にも該当する、という解釈を通達等で示すということも十分に考えられるのではないかと思います。