「年齢に関わりなく働き続ける」って…。

昨日のエントリの続きです。
さて、現行雇用対策法の高齢者雇用に関する記述を「発展」させて「年齢に関わりなく働き続けることができる社会の実現」と変更するというのは、かなり気になります。もちろん、これとてこれを受けて検討される具体的な施策如何ではあるのですが、この「年齢に関わりなく」というのが、「エージレス社会」だの「定年制の廃止・禁止」といった荒唐無稽な政策を視野に入れているとしたら大問題です。そもそも、現在だって「何歳以上は就労してはいけない」とかいう規制があるわけでもなし、年齢に関わりなく働くことはできるわけです(もちろん仕事や労働条件は思い通りにはならないでしょうが)から、なにもわざわざ「年齢に関わりなく」などと書く必要はないはずです。「働き続ける」が、まさか「同じ会社、同じ仕事で年齢に関わりなく働き続ける」ということだとすれば、それは逆にいえば「同じ仕事が続けられなくなったら働き続けられない=解雇する」ということでなければ辻褄が合いません。そんなことをしたら、体力や健康の低下、技能の陳腐化などを理由に、50代半ばで解雇される人が続々と出てきてしまうでしょう。まさかまさか「自ら退職しない限り死ぬまで同じ会社で働き続けられる」などといった「究極の終身雇用」を目指しているわけではないでしょうねぇ。それはたしかに理想的といえば理想的かもしれませんが、現実に起こるのは正社員雇用がゼロに近づいていくだけのことで、およそ日本経済のためにはならないと思いますが…。
年齢による人事管理がけしからんという意見もよく耳にしますが、なぜ年齢による管理が行われているのか、そのメリット、デメリットをよく考えて政策決定を行わないと、単に現場が混乱するだけの結果に終わるでしょう。要するに、ここを力んで「発展」させる必要はまったくないのであって、現行法の「高年齢者の職業の安定を図るため、定年の引上げ及び継続雇用制度の円滑な実施を促進するために必要な施策を充実すること」のままで十分なのです。
外国人については明日のエントリで。稼ぐぞ、稼ぐぞ(笑)