労働政策

労働基準関係法制研究会、はじまる

さる1月23日、厚生労働省の「労働基準関係法制研究会」の第1回が開催されました。来週22日には第2回が開催されるとのことです。開催要項によれば検討事項は「「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書を踏まえた、今後の労働基準関係法制の法的論点の整理…

非正規雇用、このままでいいのか

日経新聞朝刊の「経済教室」の「非正規雇用、このままでいいのか」という3回シリーズが本日完結しましたので、若干の感想など書いていきたいと思います。一昨日の(上)は小野浩・一橋大学教授で、「正規への保護 見直し不可避」との見出しがついています。 …

これでは兼業は促進されない

昨日開催された未来投資会議で、兼業・副業の促進に向けた対応の案が提示されたそうです。本日の日経新聞朝刊から。 政府は16日、未来投資会議を開き、兼業・副業の労働時間の管理について労働者が自己申告する制度を導入する方針を示した。労務管理の手間が…

日経2題

今朝の日経新聞から2題。まずは社説です。「「同一労働・賃金」機に透明な賃金制度に」と言うのですが…前半は同一労働同一賃金の説明なので途中から。 すでに企業の間では、手当の見直しが進み始めている。子育て世代への手当の支給対象を契約社員へも広げる…

ポストコロナ時代の「働く」を考えよう

昨年末に開催された「倉重公太朗の労働法実践塾出版記念シンポジウム」のダイジェストがYahoo!ニュースに掲載されておりました。私も中央大学客員教授の肩書で参加しております。 ポストコロナ時代の「働く」を考えよう(前編) ポストコロナ時代の「働く」…

未払い賃金請求期間、当面3年に(でもいずれは5年)

債権法の改正にともなう賃金債権の短期消滅時効の扱いについて、「当面3年」となる方向のようです。日経新聞のウェブサイトから。 厚生労働省は24日、会社員やパート労働者が企業に未払い賃金を請求できる期間について、現行の2年から当面3年に延長する案を…

JILPT労働政策フォーラム「労働時間・働き方の日独比較」(2)

昨日の続きです。フォーラムの最後は総括討論で、佐藤博樹先生が引き続きコーディネータ、パネリストは前半で報告に立たれたデュエル先生と高見先生に、在日独大使館のマルティン・ポール厚生労働参事官とわれらがhamachan先生こと濱口桂一郎JILPT研究所長が…

JILPT労働政策フォーラム「労働時間・働き方の日独比較」(1)

今週月曜日に開催された標記フォーラムを聴講してまいりました。すでにJILPTのサイトで当日資料が公開されていますね。詳細内容もいずれ公開されるものと思います。 https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20190930/resume/index.html ということで内容は上…

骨太方針(続き)

昨日取り上げた骨太方針素案ですが、自民党内手続で最低賃金引き上げに異論が出たとか。今朝の日経新聞から。 自民党は12日、党本部で政調全体会議と経済成長戦略本部の合同会議を開き、政府がまとめた経済財政運営の基本方針(骨太の方針)の素案について議…

骨太方針

経済財政諮問会議がいわゆる「骨太の方針」の案を示したということで、日経新聞が1面で大々的に報じています。 政府は11日、経済財政運営の基本方針(骨太の方針、3面きょうのことば)の素案を公表した。今年10月に消費税率を10%に引き上げると明記した。「…

規制改革推進会議答申

昨日、政府の規制改革会議が答申を提出しました。日経新聞は「労働市場整備が柱」と見出しを打っていますね。 政府の規制改革推進会議(議長・大田弘子政策研究大学院大教授)は6日、安倍晋三首相に答申を提出した。職務や勤務地、労働時間を限定する「ジョ…

労働新聞「リレー方式紙上討論 解雇無効時の金銭救済」(4)

労働新聞で掲載中の標記連載ですが、第4回が掲載されて無事最終回となりました。編集部がつけたタイトルはこうなっていますが、今回は少々脱線して有期雇止めの金銭解決を中心に書いています。 www.rodo.co.jp

労働新聞「リレー方式紙上討論 解雇無効時の金銭救済」(3)

労働新聞紙の連載、第3回が掲載されております。今回は以前このブログでもご紹介した大内伸哉・川口大司(2018)『解雇規制を問い直す-金銭解決の制度設計』で提案された「完全補償ルール」の採用を提案し、民事損害賠償的な発想から論じています。 www.rodo.…

労働新聞「リレー方式紙上討論 解雇無効時の金銭救済」(2)

連載第2回が掲載されております。記事タイトルにもありますが、主な趣旨は事前型の金銭解決(連合などのいわゆる「手切れ金解雇」)を排除しつつ、使用者の申し立てによる金銭解決を可能とするにはどうしたらいいか、を考えています。 www.rodo.co.jp

労働新聞「リレー方式紙上討論 解雇無効時の金銭救済」(1)

例によって中央大学の肩書になりますが、業界紙『労働新聞』で標記の連載が開始しております。鶴光太郎先生、諏訪康雄先生、倉重広太朗先生という錚々たるラインアップからバトンを受ける形ではなはだ荷が重いのですが、まあこんなことを言うのはこいつくら…

本年の賃上げ

本年の春季労使交渉も最初の山場を越え、各社ともおおむね円満な解決がはかられているようでまずはご同慶です。連合の1次集計結果によればまずまずの健闘ぶりのようで、週末の日経新聞から。 連合は15日、2019年春季労使交渉の第1回回答集計の結果を発表した…

「労務事情」1月合併号座談会「“平成”の労務管理」

もうひとつ、産労総研様の業界誌「労務事情」の2019年1月合併号の座談会「“平成”の労務管理-労働法制・労働行政等のトピックスと実務課題への対応」に登場しております。 hamachan先生ことJILPTの濱口桂一郎先生の司会のもと、経営法曹の伊藤昌毅先生、元監…

倉重公太朗先生との対談

昨日をもって中央大学ビジネススクールでの「キャリア管理論」の講義が無事終了しました。やれやれ。90分15回、まだまだ語り足りないところも残ってしまいましたが、多少なりとも受講者のみなさまのキャリア開発のお役に立つことができればと。いやまだ採点…

「架空の労働者」

朝日新聞DIGITALが昨日こんな記事を配信していたのですが… 働き方改革関連法で企業に求められる「同一労働同一賃金」について、厚生労働省は10日、派遣社員の待遇を比較する派遣先の労働者の具体案を公表した。まずは同じ仕事などの正社員としたが、最終的…

吾妻橋氏と高年齢者雇用

先週の記事なのでかなり旧聞ではあるのですが、9月21日の日経新聞朝刊「大機小機」欄に、常々労働・社会保障問題について鋭く論じる「吾妻橋」氏が登場しておられましたので、ご紹介かたがた感想を書こうと思います。お題は「改革を忘れた高齢者雇用対策」で…

JILPT政策フォーラム「働き方改革とテレワーク」

昨日開催されましたので聴講してまいりました。JA共済ビル1階のカンファレンスルームを全室打ち抜いた300人規模の会場でしたが満席の大盛況で、このテーマへの関心の高さをうかがわせるものがありました。 構成としてはまず早大の小倉一哉先生の基調講演があ…

裁量労働制実態調査に関する専門家検討会

この19日に標題の会合が開催されたとのことで、あれこれお訊ねもありましたので簡単にコメントしたいと思います。まず現状をSankeiBizから。 裁量労働制を巡る厚生労働省の調査で、不適切なデータが多数見つかった問題を受け、新たな調査方法を議論する同省…

働き方改革関連法案、成立

ということで7月進行もようやく落ち着きましたのでこの間のあれこれについて簡単にコメントしていきたいと思います。まずはなにかと騒動のあったこれですがどうにか成立にこぎつけたようでまずはご同慶であり、関係者のご尽力に敬意を表したいと思います。な…

2018年労働政策研究会議(3)

年末進行より過密な7月進行(謎)。ひどく間が開いてしまいましたが6月17日に開催された標記会議の感想の続きです。午後のパネルディスカッションは「従業員の発言システムをめぐる現状と政策課題−労働者代表制を手掛かりに」をテーマに開催されました。 ま…

2018年労働政策研究会議(2)

昨日の続きで、17日に開催された標記会議の感想を書いていきます。自由論題の3つめは、JILPTの藤本真主任研究員から「小企業で働く人々のキャリア展望と能力開発活動−なぜ小規模企業勤務者は乏しい能力開発機会を問題と感じないのか」と題して報告がありまし…

2018年労働政策研究会議(1)

この17日に開催されたので参加してまいりました。開催校は明治大学で永野仁先生が段取りしておられましたが、永野先生は昨年は準備委員長を務めておられ、二年連続でまことにお疲れ様でした。 http://www.jirra.org/kenkyu/frame.html さて午前中は3会場に分…

解雇の金銭解決の制度設計

大内伸哉・川口大司編著『解雇規制を問い直す−金銭解決の制度設計』を読みました。刊行時から気になっていたのですがなにかと取り紛れて失念しているうちに毎日新聞に大竹文雄先生の書評が載り、思い出してあわてて購入して読みました。解雇規制を問い直す -…

「ホワイトカラー・エグゼンプションの議論はなぜダメなのか」フォロー

財務省のスキャンダルが出てきたとたんにみなさん「過労死」も「命」もどうでもよくなったようであーこらこらこらこら、まあずいぶんトーンダウンしたもんだとは思います(それでもなお高プロ反対とかを唱え続けている人はそれなりに一貫していて偉いと思い…

ホワイトカラー・エグゼンプションの議論はなぜダメなのか(3)

前回、前々回のエントリには多数の反応があり(ありがとうございます)、中でも多かったのが「監督強化や厳罰化が必要」とのご意見でした。これについては、このブログを以前から読んでいただいている方はご存知のとおり、私もほぼ同意見であって監督強化に…

ホワイトカラー・エグゼンプションの議論はなぜダメなのか(2)

なんか日経新聞は裁量労働制拡大先送りにいたくご不満なようで、本日朝刊でも総合面(3ページ)で大きく記事化したうえに社説でも取り上げていて、若干評価を改めたところもありますがうーんやはりダメかなあ。 なにがダメかというと生産性生産性と連呼して…