労働政策

ホワイトカラー・エグゼンプションの議論はなぜダメなのか(1)

国会でだいぶん紛糾しておりましたが、どうやら裁量労働制の範囲拡大については今国会での成立は断念ということになったようです。今朝の日経新聞が1面トップで大々的に書きたてておりますな。高プロについては成立させるという意向のようですがさあどうなり…

柔軟な働き方に関する検討会報告

どうにか年末進行を切り抜けた(と思う)。某シンクタンクの研究会報告書が2本あって(残念ながらともに非公開)いずれも年末締切であり、さらにプライベートでは日本キャリアデザイン学会の用務がけっこう大変でこちらは一部2週間くらい締切を過ぎたりして…

「働き方改革」法律案要綱(続き)

さて昨日の続きです。安衛法の次には派遣法が来ているのですがここだけで12ページにわたるというボリュームであり、まことにご苦労のほどがしのばれるわけですがとりあえず後回しにさせていただいて、直接雇用のほうの同一労働同一賃金をみていきましょう。 …

「働き方改革」法律案要綱

公私ともにようやく一段落(したと思う)。8月にこんなにバタバタするというのもちょっと記憶にないかも。もちろんこの間も世の中は動いており、なにやら人生100年時代構想会議とかいうのも始まったようでまあ忙しいことだ。ということでこの間の動きはカバ…

高プロで連合が譲歩

連合が、これまで強硬に反対してきた高度プロフェッショナル制度について、一定の規制強化を条件に容認する姿勢に転じています。 安倍晋三首相は13日、首相官邸で連合の神津里季生会長と会談した。神津氏は「脱時間給」(ホワイトカラー・エグゼンプション)…

消滅時効の見直し

hamachan先生のブログで紹介されていましたが、債権法の大改正にともなって労働基準法の短期消滅時効の在り方を見直そうという話があるそうです。 http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2017/07/post-a04f.html 労働サイドが延長歓迎であろうことは容…

「「100時間」について」フォロー

hamachan先生から、3月21日のエントリ「「100時間」について」にトラックバックをいただきました。 差し引き分は法定休日労働に限る 前回のエントリでは議論しきれていなかった部分もあり、また新情報もありましたので、かなり細かい話になりますがフォロー…

労政審信仰?

朝日新聞の澤路毅彦さんがこんなことをつぶやいておられるのですが…。 澤路 毅彦@sawaji1965 労働畑の人に、妙な「労政審信仰」みたいなものを感じることがある。労政審だって、官僚が大きな絵を描いて、その中で労使の調整に動いていることに変わりはないと…

2017年労働政策研究会議(3)

少し間が空いてしまいましたが、さる6月18日に開催された労働政策研究会議の感想の続きです。今回で終わりたいところですがさあどうなりますか。 午後は総会のあと「非正規社員の処遇をめぐる政策課題」と題したパネルディスカッションとなりました。パネリ…

2017年労働政策研究会議(2)

昨日の続きです。この18日に開催されたJIRRAの労働政策研究会議に参加してまいりましたので感想など。 金先生に続いては、近年連合総研で大活躍しておられる早稲田の篠田徹先生が「連合(日本労働組合総連合)は何をしているのか―比較労使関係研究の分析枠組…

2017年労働政策研究会議(1)

昨日開催されたので行ってまいりました。今年の準備委員長は明治の永野仁先生、会場は法政の新一口坂校舎で藤村博之先生が段取りしておられました(お疲れ様でした)。 http://www.jirra.org/kenkyu/index.html さて今年は特段のオープニングセレモニーもな…

「3点セット」のなぜ

働き方改革実行計画について連投していたところ読者の方からYahoo!Japanニュースに掲載された上西充子先生の記事についてのコメントを求められました。 「働かせ方改革」ならぬ「働き方改革」のためには、「残業代ゼロ法案」の撤廃と「休息時間確保権」の保…

働き方改革実行計画(4)

さて今回は「7.病気の治療と仕事の両立」からですが、ここの目玉は生稲晃子議員が提起した「(2)トライアングル型支援などの推進」ですね。本文中に2回しか出てこない図の1つがここで使われていて気合が入っている感じです(もう一方は図形ですがこちら…

働き方改革実行計画(3)

ということでとぎれとぎれになっている働き方実行計画についてのコメントを続けたいと思います。今日も時間があまりないので短くなると思いますが…とりあえずエントリ名を(3)とか連番にしたのは正解だったな(笑)。最後まで行き着きますものやら。 さて…

「働き方改革 ここが足りない」の足りなさぶり

きのうの日経新聞朝刊に「働き方改革 ここが足りない」というインタビュー特集が掲載されておりましたが、これがまたなかなかのシロモノでしたので働き方改革実現計画の話をまたしても中断して書きたいと思います。いや本当に大丈夫か日経新聞。 さて特集冒…

働き方改革実行計画(2)

ということで3月31日に書き始めた働き方改革実行計画へのコメントを続けたいと思います。 まず、(案)が取れたものがこちらにあります(工程表はついてない)。 http://www.kantei.go.jp/jp/headline/pdf/20170328/01.pdf さて前回は上限規制のところで終わ…

働き方改革実行計画(1)

ということですったもんだのあげくに28日の働き方改革実現会議で「働き方改革実行計画」がめでたく決定されたようです。まずはご同慶です。 働き方改革実行計画(案) 当初からこんなもんこの短期間に全部やりきれるわけないだろうと懸念していたところ案の…

「100時間」について

17日に開催された働き方実現会議で、かねてより懸案の労働時間の上限規制について了承されたとの報道がされていました。 政府の「働き方改革実現会議」(議長・安倍首相)は17日の会合で、時間外労働(残業)について、繁忙期の月上限を「休日労働を含んで10…

残業上限「月60時間」

前々から観測気球は上がっておりましたが、いよいよ昨日の働き方改革実現会議で政府案が提示されました。 政府は14日、首相官邸で働き方改革実現会議を開き、残業の上限を月60時間と定めた政府案を示した。1年間で720時間に収めることとし、繁閑に合わせた…

このごろのあれこれ

春季労使交渉がこの時期に行われるのは例年のことですが、今年はほかにもあれやこれやとめまぐるしく動いておりますな。いずれも以前まとめて書いたことがあるような話ではありますので、現時点での感想を日経新聞の記事をもとに簡単に。まずは1月31日のこの…

JILPT労働政策フォーラム「多様化する仕事と働き方に対応したキャリア教育」(3)

もう少しだけ残っているので書きます。実践報告について、特に大学と高校の取り組みは多大なご苦労がしのばれるもので、その勤勉さにはまことに頭が下がるものがあったのですが、それに協力する企業というのも立派なものだと思いました。文部科学省が展開し…

JILPT労働政策フォーラム「多様化する仕事と働き方に対応したキャリア教育」(2)

書きます(笑)。昨日は標題のフォーラムの内容をざっとご紹介しましたので、それに対する感想などを少々。 玄田先生のお話の中で最も関心をひかれたのは実は本論部分ではなく(笑)、最初に紹介された社会全体の意識というか雰囲気を示す資料です。これは社…

JILPT労働政策フォーラム「多様化する仕事と働き方に対応したキャリア教育」(1)

参加してまいりました。JILPTはここ数年、年数回開催される労働政策フォーラムのうち1回を地方開催することにしているらしく、今回は栃木県宇都宮市での開催です。 http://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20170123/index.html まず社研の玄田有史先生の基調講…

中小飲食店の受動喫煙対策

今朝の日経新聞にこんなニュースが流れておりました。 飲食店などの業界団体が12日、厚生労働省が検討している受動喫煙防止対策の強化案に対する緊急集会を開いた。「中小零細の飲食店は規制への対応が難しい」として、一律の規制に難色を示した格好だ。ただ…

同一労働同一賃金ガイドライン案・フォロー

書く書くと言ってまた書いてない(笑)。ということで22日のエントリ(http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20161222#p3)の続きです。前回はガイドライン案本文を見てみましたが、それではこれを今後どのように展開し活用していくのかについては、実現会議のウェ…

同一労働同一賃金ガイドライン案

海上周也さんから、16日のエントリのコメント欄でご質問をいただきました。 政府の同一労働同一賃金ガイドラインについてなかなか厳しい見解を示されていらっしゃいますが…。一つひとつの批判のご指摘点は小生も理解できない訳ではありませんが、では(例え…

「働き方改革で副業拡大?」フォロー

職場の回覧で週刊東洋経済が回ってきたところ副業が大々的に特集されている件(笑)。ということで前回のエントリのフォローです。先日は「働き方改革で副業拡大」について法制度面からいろいろ難しい問題があるんだけど解って言ってるのかねという観点から…

働き方改革で副業拡大?

昨日の朝日新聞が1面で大々的に報じておりましたが…。 政府は、会社員が副業・兼業をしやすくするための指針づくりに乗り出す。会社勤めを続けながら、勤め先に縛られない自由な発想で新しい事業を起こしたい人を支援し、経済の活性化につなげるのが狙い。24…

大内伸哉先生の受難

今朝の日経新聞が1ページ使って働き方改革の大々的特集を掲載しております。コンテンツは企業経営者3人と研究者1人のインタビューと記者による簡単な解題で、研究者枠では神戸大の大内伸哉先生が登場しておられます。ここでも先生のいつも持論を展開されてい…

働き方改革どこへ行く?

いまや政権の目玉政策となった感のある「働き方改革」ですが、先週金曜日(2日)には「働き方改革実現推進室」が内閣官房で発足し、中旬には「働き方改革推進会議」というのもスタートする予定とのことです。報道によれば、1億総活躍プランで示された「同一…