今年の10冊

 中央でのレクチャーが始まったうえに某シンクタンクの報告書(残念ながら非公開)の分担執筆が年末締切であり、さらに25日締切で対談1本と座談会1本のチェック・補加筆がある(対談の連載ははじまっております。第1回第2回第3回。何回になるかは実は知らない(笑))。というありさまでさすがにブログまでは手が回らない状況に陥っておりました。年末年始も講義の準備ですよとほほほほ。
 もちろん中央の教員になって良かったことというのもいくつかあってそのひとつが大学図書館を自由に使えることであり、公共図書館には入りにくい(まあ調布市図書館はかなりがんばっているとは思いますが)ような本でも中央の図書館ならまあ数か月待てば入ってくるのでまことにありがたいことこの上ない。ありがとうございますありがとうございます、ということで年末恒例のこれを。そう言ったわりに図書館で借りた本はあまり入っていないな(笑)。実は10冊だいたい決めていたところに首藤先生の本が突入してきたので1冊入れ替えという仕儀となりました。
 例年どおり著者1人1冊で、著者名五十音順です

浅倉むつ子・萩原久美子・神尾真知子・井上久美枝・連合総研編『労働運動を切り拓く-女性たちによる闘いの軌跡』

労働運動を切り拓く 女性たちによる闘いの軌跡

労働運動を切り拓く 女性たちによる闘いの軌跡

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大内伸哉川口大司『解雇規制を問い直す-金銭解決の制度設計』

解雇規制を問い直す -- 金銭解決の制度設計

解雇規制を問い直す -- 金銭解決の制度設計

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大竹文雄・平井啓『医療現場の行動経済学-すれ違う医者と患者』

この本は中央の図書館で借りました。1人待ちだったのですが前の人がなかなか返却してくれなくて参った(笑)。なるほど医療というのはリスクとリターンのシビアな判断が求められる場面も多いのでとりわけ行動経済学の知見が役立つ分野なのかもしれません。面白い本でした。

大屋雄裕『裁判の原点─社会を動かす法学入門』

まあ私は労働分野の人なので裁判所が法理を形成していくことには(他の分野の方々よりはたぶん)なじみがありますが、それでも司法と立法、司法と行政の関係にはモヤモヤしたものを覚えるわけです。この本はそのあたりの複雑な関係を読みやすく整理、解説してくれていて、非常に腹落ちするものがあり勉強になりました(なお1月刊で中央の教員になる前だったので買って読んだ)。

玄田有史『雇用は契約』

雇用は契約 (筑摩選書)

雇用は契約 (筑摩選書)

『30代の働く地図』も採りたかったのですが1人1冊でこちらにしました。
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小池和男企業統治改革の陥穽-労組を活かす経営』

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首藤若菜『物流危機は終わらない-暮らしを支える労働のゆくえ』

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濱口桂一郎『日本の労働法政策』

日本の労働法政策

日本の労働法政策

実はこの本だけはまだ全体を通読していないのですが(それでもあちこちそこそこ読んだ)、さすがにこれは外すわけには…。
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八代尚宏『脱ポピュリズム国家-改革を先送りしない真の経済成長戦略へ』

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脇坂明『女性労働に関する基礎的研究-女性の働き方が示す日本企業の現状と将来』

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 ところで中大図書館の話に戻りますと、読みたい新刊書のステータスが発注済になっているので今か今かと毎日チェックしていたらある日突然貸出中に変わるというのが2度ほどあり、まああれかないろいろ優先利用のルールがあるのかな。別に2週間が待てないわけではありませんし入庫するだけでありがたいのですが。
よいお年をどうぞ。