今年の10冊

年の暮れとなりました。今年は秋後半以降あまり読書の時間がとれず、先日出た神林先生の単著とか書評に惹かれて買った怪獣大戦争の本とか、基本積読はしない私としては珍しく何冊かが積まれているという状況(したがって読みたいが買ってもいない本も何冊もある)なので洩れがありそうなのですが、年末恒例ですので例年通りにやりたいと思います。著者一人一冊、紹介順は著者50音順というもの例年同様です。

稲葉振一郎『宇宙倫理学入門−人工知能はスペース・コロニーの夢を見るか?』

宇宙倫理学入門

宇宙倫理学入門

今年最初に読んだ一冊。どうしていなば先生はこういう難しい話を楽しく面白く読ませることができるのだろう(補論は難しい話が難しく書かれていて難儀しましたが)。SF小説を引きながら語る部分ではピケティ『21世紀の資本』がバルザックを引きつつ論じていたことを思い出しました。なお奥付をみると2016年12月23日発行となっていますがさすがに今年の10冊でいいですよね?

大竹文雄『競争社会の歩き方』

書評がこちらにあります。
http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20171011#p1

玄田有史『人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか』

昨日の日経新聞に掲載された「エコノミストが選ぶ経済図書ベスト10」でも「大差で一位に輝いた」そうです。
書評がこちらにあります。
http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20170622#p1

斎藤泰弘『ダ・ヴィンチ絵画の謎』

カラー版 - ダ・ヴィンチ絵画の謎 (中公新書)

カラー版 - ダ・ヴィンチ絵画の謎 (中公新書)

レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿研究の権威が、ダ・ヴィンチの生涯や歴史的背景などをふまえて、ダ・ヴィンチ絵画の解釈を試みた本です。多数の美しい図版に惹かれて買ったのですが、その謎解きの面白さに一気に読了してしまいました。

佐藤博樹・武石恵美子編『ダイバーシティ経営と人材活用』

簡単な紹介がこちらにあります。
http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20170210#p1
2月発売の本ですが、今となっては「働き方改革論議の多くのポイントを網羅していたことがわかります。

島貫智行『派遣労働という働き方』

派遣労働という働き方 -- 市場と組織の間隙

派遣労働という働き方 -- 市場と組織の間隙

簡単な紹介がこちらにあります。
http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20170510#p1
労働者派遣を論じるには必須の文献と申し上げるべきでしょう。

首藤若菜『グローバル化のなかの労使関係』

平成29年度労働関係図書優秀賞を受賞されました。おめでとうございます。簡単な紹介がこちらにあります。
http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20170313#p1
集団的労使関係を本格的に取り上げる研究者はあまり多くないのではないかと思いますので、今後の業績が期待されます。

高田高史『社史の図書館と司書の物語』

書評はこちらにあります。
http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20171228#p1

カルロ・ロヴェッリ『すごい物理学講義』

すごい物理学講義

すごい物理学講義

訳題は不評のようですが、しかし訳題のとおり非常に面白い物理学の読み物でした。古代ギリシャから書き起こして物理学と物理学者たちのドラマが生き生きと描かれ、最終的には最新のループ理論まですいすいと読ませてしまう本です。

八代尚宏働き方改革の経済学』

働き方改革の経済学

働き方改革の経済学

簡単な紹介がこちらにあります。
http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20170920#p1
働き方改革」もすっかりバズワード化した感がありますが、この本では「働き方を改革する」というのがどういうことなのかが的確に解説されています。


2017年もあと数時間となりました。よいお年をどうぞ。