「「ワシの年金」バカ」

なお上記で「「ワシの年金」バカが福祉を殺す」というエントリをご紹介しましたので、その本題についても一言書きたいと思います。hamachan先生のご趣旨はこういうものです。

 マスコミや政治家といった「世間」感覚の人々の場合、福祉といえばまずなにより年金という素朴な感覚と、しかし年金の金はワシが若い頃払った金じゃという私保険感覚が、(本来矛盾するはずなのに)頭の中でべたりとくっついて、増税は我々の福祉のためという北欧諸国ではごく当たり前の感覚が広まるのを阻害しているように思われます。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-7e36.html

現在の年金受給者が「年金の金はワシが若い頃払った金じゃ」とどの程度考えているのか、まあ裏付けがあるのだろうと思いますが、消費増税の賛否をめぐる世論調査をみると年金受給世代の賛成は他世代より明らかに多く(まあそれでも絶対水準は30%前後が多くそれほど高くはありませんが)、わかっている人もけっこういるようにも思われます。とりあえず「私が若いころに当時の老年世代の年金を払ったのだから、私も現役世代に年金を払ってもらって当然だ」くらいの理解をしている人も多いのではないでしょうか(いや本当に感覚だけの話で根拠はないのですが)。
ただ私はこの理屈でも残念ながら「もらって当然」にはならないように思います。今の年金受給世代の親世代は(団塊の世代に代表されるような)多くの子=のちの年金の担い手を育ててきたわけですが、今の年金受給世代は、残念ながらそれほど多くの子=現在の年金の担い手を育ててきたわけではありません。したがって、少なくとも自分たちが自分たちの親世代と同様に年金を受けて当然だとは即座には申し上げられないと考えるべきではないでしょうか。だから今回、その穴を埋めるためのネット増税が必要になっているわけで。
ということで、本当にそうした誤解が年金受給世代にあるのだとしたら(あるのでしょうが)、誰がそんな説明をしてきたのかという話でしょうし、その誤解を解消する努力も必要だろうと思います。単に説明するよりは、私も必ずしも賛成はしないのですが、たとえば育てた子の人数で年金額を増減する制度を大々的に検討する(理解促進には検討すれば足りるので実施する必要はない)ことなどは効果的なように思います。