ソニー、間接部門限定の早期退職

こちらは企業面。

 ソニーは間接部門の社員に限定した早期退職者の募集を始めた。2007年度末までに全世界の人員1万人を減らす計画の一環で、デジタル家電の商品開発力を損なわないようにするため「エンジニア」を対象から除外した。業績不振の電機大手では人員削減に伴う技術力低下を懸念しており、ソニーは職種限定の早期退職プログラムを導入して技術者の流出に歯止めをかける。
…2日までに、主に本社の人事や経理など間接部門に限った早期退職者の募集を開始。対象は「エンジニアを除く勤続10年以上の一般社員と管理職」で、退職金に加え基本給の最大54カ月分を上乗せ支給する。技術者が早期退職を希望しても加算金は支払わない。…募集人員の目標は明らかにしていない。
 同社は本社社員(約1万5千人)のうち約8割を技術者が占める。過去に実施した早期退職制度は全職種を対象にしていたため技術者の応募が多くを占め、結果的に間接部門を十分にスリム化できなかった。
(平成17年12月3日付日本経済新聞朝刊から)

一般的な「希望退職」ではなく「早期退職」としたのはなにか意味があるのでしょうか。「早期退職」ということばには「早期引退」、つまり比較的高年齢の人がはやめにやめる、というニュアンスがありますが、ソニーの場合は「勤続10年以上」ですから大卒でも32歳から対象となり、「早期引退」という感じはあまりしません。


それにしても、割増退職金が、最大とはいえ「54カ月」とは、まことに手厚い取り扱いといえましょう。54カ月といえば4年半であり、賞与や諸手当が年間6ヶ月としても年収3年分ということになります。安く見積もって基本給が40万円としても2000万円超、実際にはソニーなら60万円という人も多いでしょうから、そうなると3000万円を楽に超えるということになります。
逆にいえば、それだけ札束を積んでも辞めてもらいたい、ということで、まあ平均して総額人件費は基本給の1.7倍といわれており、ソニーならたぶん2倍は超えているでしょうから、これだけ手厚くしても割りにあうのかもしれません。
エンジニアを除く、というのは、エンジニアはもう十分スリム化した、ということに加えて、エンジニアのモラルにも配慮しているのでしょうか。電機産業の場合は業界全体が不振というわけでは必ずしもなく、むしろ好不調の格差が大きいので、業種特殊的な技術を持つ技術者なら比較的転職は容易という事情もありそうです。当然ながら、ソニーブランドの威光もまだまだ健在でしょうし。その点、管理部門は好不調を問わずどこでもスリム化に走っていますから、なかなか転職も難しそうで、その分積み上げる札束も高くなるということなのでしょうか。