JILPT様より

(独)労働政策研究・研修機構様から、最近の研究成果をお送りいただきました。いつもありがとうございます。
すべて、機構のウェブサイトからお読みになれます。
http://www.jil.go.jp/institute/index.html

【労働政策研究報告書】

No.200(2018年3月)
キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査
http://www.jil.go.jp/institute/reports/2018/0200.html
No.197(2018年3月)
現代先進諸国の労働協約システム(フランス)
http://www.jil.go.jp/institute/reports/2018/0197.html

【調査シリーズ】

No.179(2018年3月)
企業の多様な採用に関する調査
http://www.jil.go.jp/institute/research/2018/179.html
No.178(2018年3月)
大学生・大学院生の多様な採用に対するニーズ調査
http://www.jil.go.jp/institute/research/2018/178.html
No.177(2017年11月)
ものづくり産業を支える企業の労働生産性向上に向けた人材確保・育成に関する調査結果
http://www.jil.go.jp/institute/research/2017/177.html
No.176(2017年11月)
イノベーションへの対応状況調査」(企業調査)結果及び「イノベーションへの対応に向けた働き方のあり方等に関する調査」(労働者調査)結果
http://www.jil.go.jp/institute/research/2017/176.html
No.164(2017年2月)
若年者の離職状況と離職後のキャリア形成(若年者の能力開発と職場への定着に関する調査)
http://www.jil.go.jp/institute/research/2017/164.html

【資料シリーズ】

No.204(2018年3月)
雇用バッファの動向─長期雇用慣行の持続可能性─
http://www.jil.go.jp/institute/siryo/2018/204.html
No.203(2018年3月)
仕事の世界の見える化に向けて―職業情報提供サイト(日本版O-NET)の基本構想に関する研究―
http://www.jil.go.jp/institute/siryo/2018/203.html
No.202(2018年3月)
厚生労働省「多様化調査」の再集計・分析結果―雇用の多様化の変遷(その4)/平成15・19・22・26年調査―
http://www.jil.go.jp/institute/siryo/2018/202.html
No.201(2018年4月)
諸外国における副業・兼業の実態調査―イギリス、ドイツ、フランス、アメリカ―
http://www.jil.go.jp/institute/siryo/2018/201.html
No.200(2018年3月)
職業分類改訂委員会報告
http://www.jil.go.jp/institute/siryo/2018/200.html
No.199-1、2(2018年3月)
雇用システムの生成と変貌―政策との関連―
http://www.jil.go.jp/institute/siryo/2018/199.html
No.198(2018年3月)
高齢者の多様な活躍に関する取組―地方自治体等の事例―
http://www.jil.go.jp/institute/siryo/2018/198.html
No.197(2018年3月)
諸外国における育児休業制度等、仕事と育児の両立支援にかかる諸政策―スウェーデン、フランス、ドイツ、イギリス、アメリカ、韓国―
http://www.jil.go.jp/institute/siryo/2018/197.html
No.196(2018年3月)
組織変動に伴う労働関係上の諸問題に関する調査―労使ヒアリング調査編―
http://www.jil.go.jp/institute/siryo/2018/196.html

相変わらず精力的な調査研究活動が展開されているようで敬意を表したいと思いますが、中でもぜひご紹介したいのが資料シリーズNo.201(2018年4月)『諸外国における副業・兼業の実態調査―イギリス、ドイツ、フランス、アメリカ―』です。標題の4か国の副業・兼業の概況がコンパクトにまとめられたもので、情報量はさほど多くはないものの面白い知見がふんだんに含まれています。
4か国とも、兼業している人はそもそも多くはなく(全体の数%程度)、兼業先がともに雇用労働という人はさらに少ないということは共通しているようです。また、アメリカの例では、兼業の目的はほとんどが(副)収入の稼得であり、企業もしくは別の仕事の経験のために兼業している人は継続的に数%にとどまっておりかつ減少傾向にあります。ドイツでもミニジョブの目的は追加的収入であるとうかがわせるような記述もあり、まあアメリカですらそうであれば各国とも副業の目的は主として追加収入であると推測していいでしょう。
労働時間法制についても非常に興味深く、雇用労働については通算が規定されている(自営は通算されない)ことは英独仏共通です。ただし英独については労働者による労働時間の申告が(事実上)義務とされており、英国においては(兼業の多い医療関連の話のようですが)その状況に不都合があればマネージャーは兼業を禁止しうる(兼業許可を取り消し得る)こととなっていますし、独においては労働者が申告を怠って違法状態を惹起した場合には解雇の理由となるとされているようです。うーん、兼業はできますよって就業規則に書けとか言ってる国があるようですが、どこだったかしら。
仏の場合はさらに興味深く、兼業する場合には法定労働時間を超えて労働しないことは労働者の義務にもなっているという制度のようです(これは私も初耳で驚きました)。違法状態となっている労働者については解雇もありうべしということのようであり、さらに雇用主は労働者から法規を遵守していることを明示する書面の提出を求めることができ、拒んだ場合には解雇しうるということになっているようです。なお米国については通算規定そのものがなく、各使用者はそれぞれでの労働時間について割増賃金を支払えば足りるということのようです。
他にも健康確保などについても記載されていて非常に貴重な資料ではないかと思われます。詳報を待ちたいところですが、まあ各国ともかなり苦労しているようすがうかがわれ、一筋縄ではいかないなという印象です。「兼業・副業を通じて転職・起業」とか、なにを能天気なことを言ってるのかなあとも思うなあ。「働き方改革」には逆行する内容で現政権にとっては不都合な(笑)結果かもしれませんが、しかし十分考慮すべき情報であろうかと思います。