菅野和夫・荒木尚志編『解雇ルールと紛争解決』

労働政策研究・研修機構様から、菅野和夫荒木尚志編『解雇ルールと紛争解決−10カ国の国際比較』をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

http://www.jil.go.jp/publication/ippan/dismissal-rules.html
これは2015年6月に刊行されたJILPTの報告書『解雇及び個別労働関係の紛争処理についての国際比較 〜イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、 デンマーク、韓国、オーストラリア及びアメリカ〜』に、日本を加えて書籍化したものですね。いくつかの(大半の?)国については、個別に調査研究報告書としても発表されていたと記憶しています。各国についてはそれぞれJILPTの研究員が執筆していますが、序章と日本については菅野理事長自らが、終章については編者の荒木尚志先生が筆を執られています。
元になった調査が行われた時期というのは、安倍政権の成長戦略絡みで解雇の金銭解決とか規制緩和とかが政策課題にあがっていた時期であり、それを受けてこうした詳細な調査が行われたわけです。いまも厚労省の検討会で金銭解決の議論が進んでいますが、その基礎資料にもなるものですし、もちろん関係者が座右において参照するにきわめて適切な資料でもあります。
でまあなにを言いたいかというと、やはり新しい政策を検討するにはこういうきちんとした基礎調査が必須だってことなんですよ。欧州の裁判例をいくつか並べてささっと議論してしまうとか、やっぱりそういうことはやるべきじゃないよねえと。