日本マクドナルド、定年制を復活

昨日に続いてもう一つ週末の日経新聞から。順序は逆になりますが定年制廃止で話題になった日本マクドナルドが「若手育成が進まない」ということで定年制を復活させるそうです。そうそう、マクドナルドの教育・育成って高く評価されてましたよねえ(いやもっぱらアルバイト対象のものだったかもしれませんが。

 日本マクドナルドは2012年1月から60歳定年制を6年ぶりに復活する。年齢に関係のない実力主義の浸透を目指す一環で06年に定年制を廃止したが、個人の成果を重視するあまり、若手社員を育成する組織づくりが進まないと判断した。
 同社は04年に年功序列の人事・賃金制度を廃止するなど実力主義の人事体系を進めている。定年制廃止も年齢ではなく実力本位の意識を徹底する狙いがあったが、「後進を育てる文化が浸透する前に廃止したのは早すぎた」(同社)としている。
 現在60歳を超えて働く正社員は数人いるが、1年間以上は継続して働けるように配慮する。
 定年制に戻し、自分の職務の後進育成を評価基準の軸にすることを徹底する。同時に65歳までの再雇用制度を導入し、高年齢者雇用安定法に対応する。希望者の健康や能力を判断して、年間契約で雇う。
 後継者を育てる社内風土になれば「将来、定年制の再廃止を目指す」(原田泳幸会長兼社長)。今年は初めて20代の社員を部長職に就けるなど、同社は若手社員の積極登用を経営の重要テーマに据えている。
平成23年9月17日付日本経済新聞朝刊から)

定年制廃止の先進事例として役所の評価も高かった日本マクドナルドですが、あえなく定年制復活と相成ったようです。まあ、もともと労働関係者の間では「これって定年前でも首切りするってことだよね」とささやかれていたわけですし、きっと人材育成に支障をきたすだろうということも(別ロジックですが)本ブログの過去のエントリ(http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20060524)で指摘していたところであります。
つい最近も書きました(http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20110912#p1)が、企業内人材育成を機能させたいのなら、「自分の職務の後進育成を評価基準の軸にする」という動機付けも必要ですが、仕事を教えた人がそれによって不利益を被らないための安全装置?として、長期間(定年まで)の雇用保障も必要になるわけです。ですから、「後進を育てる文化が浸透する前に廃止したのは早すぎた」「後継者を育てる社内風土になれば「将来、定年制の再廃止を目指す」」などと言っているようでは、はたして育成文化が根付くかどうか…というか、育成文化が根付いたところで定年制を廃止したらまた逆戻り、ということを繰り返すのでしょうか。まあそうやって学習していくのでしょうが。