ヨドバシカメラの採用担当者のブログを取り上げた11月1日のエントリ(http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20101101#p1)に対していくつか反応をいただきましたので、フォローのエントリを書きたいと思います。
まずid:yoseさんからいただいたブックマークコメントです。
yose 労働 引用元のロジックは少々拙い(特に、ご指摘の通り「ライフワーク」の意味を取り違えているところなんか)とは思うが、そこまでブラックさを想起させる文章だろうか?ちょっと労務屋さん愛のムチ強すぎかも。 2010/11/10
http://b.hatena.ne.jp/yose/20101110#bookmark-26177217
yoseさんありがとうございます。まあたしかに「素人さんは叩かない」という方針に照らしてあの書き方はどうかなあとは思ったのですが、企業サイトに準じる場所で実名・職名を示して書かれたものにもかかわらずあの内容、ということでついつい(笑)。
さて、本文でも書きましたし、コメント欄でもコメントいただいていますが、ご本人の熱い想いを個人的に表明されるのは私も自由だと思います。仕事に人生を捧げるという生き方も、それはそれで立派なものとなりうるとも思います。また、ヨドバシカメラが本当にそういう人ばかりを求めているのであれば、そのように表明することはむしろ必要なことだろうと思います。ただ、それは人事管理としてはうまく行かないだろう、本文にも書いたように一部の人に対しては「いやでも全身全霊をかけて打ち込んで苦労もしたけど輝く思い出ができたからそれでいいじゃん」で済ませざるを得なくなるだろうと私は思いますので、そうなるとそれはブラック企業だよねと申し上げたわけです。
一方で、現実のヨドバシカメラは実際にはそういう会社ではないと思われるわけで、yoseさんのような人事のベテランがあの文章を読めば「仕事をライフワークにするような人は一定数必要だが、十分採れていないから、そういう人の応募を促す文章」という受け止めになるわけです。私も、それ自体は採用業務の作戦として「あり」だと思います。
ただ、それにしても人事担当者、採用担当者がそれをああいう言い方、職業をライフワークにすべきとかライフワークとワークライフバランスは対極とか言った言い方で言うのはまずかろうと思います。これは採用の作戦としても(人事管理のことをよく知らない)学生さんにブラックな印象を与えてどうかと思いますし、それ以前の問題として、そもそも人事屋の理念としてもいかがなものかと思ったわけです。本文にも書いたように世の中の企業や人事担当者が全部そんなもんだと思われたら困ります(yoseさんも自分もそうだと思われたら困りますよね?)し、社名を背負って公開の場で書く文章はもう少し慎重であってほしいとの思いもあり、いささか辛辣な書き方になってしまいました。
さてもうひとつは匿名(捨てハン)の方からいただいたご質問で、「ニートの海外就職日記」というアルファなブログで同じ話題が取り上げられているとご紹介いただきました。件の記事は下のリンク先をどうぞ。
http://kusoshigoto.blog121.fc2.com/blog-entry-364.html
これまた例によって私の勤務先を引き合いに出して揶揄されていますので全文は示しませんが、
…貴殿が以前disってた「ニートの海外就職日記」さんが全く同じことを書いていますよ。貴殿流に言えば「かなり異なる表現」wwでね。今回は飽きずに読めたよ、ほめてやるよwwそれともモノマネ???…
ということでご質問は「モノマネ???」ということなのですが、たしかにライフワークやワークライフバランスの意味わかってる?という論旨は共通していますが、それ以外のところはだいぶ異なっていますので、まあオリジナリティは主張できると思いますが。「ニートの…」氏はどちらかというと(一般的な)ワークライフバランスのとれた人生のほうが仕事漬けの人生よりずっといいよ、一度そういう人生経験してから言ったらどうですか、ということを強調しておられるようですね。
これで一応形式的にはご質問にお応えしていると思いますが、少し感想を書きますと、私自身は実際の体験などを通じて自分にとって適度なワークライフバランスがあり、それに近い状態で幸福を感じるわけで、それは仕事漬け状態からは程遠いものです。ここまではたぶん「ニートの…」氏と共通でしょう。
ただ、私は繰り返し書いているように、私のそうした価値観を他人も共有すべきだとは思っていません(いや共有してもらえればうれしいですが)し、仕事をライフワークにして仕事漬けになるのも立派な生き方になりうると考えています。「ニートの…」の過去エントリを読んだわけではないので確たることはいえませんが、「ニートの…」氏はどうも仕事漬けのワークライフバランスを一律に「社畜」などと称して否定しているようなので、その部分では明らかに異なっていると思います。もちろん個人の意見として表明されるのはもとより自由ですし、個人の意見として尊重しますが。