リクルートワークス研究所の坂本貴志さんから、ご著書『ほんとうの日本経済ーデータが示す「これから起こること」』をご恵投いただきました。ありがとうございます。
労働市場の観点から、多くのデータをていねいに参照しながら日本経済の現状を確認し、その先の見通しを展望しています。過去2冊は高年齢者にフォーカスしていましたが、本書では日本経済全般に視野を広げ、さらに具体的な企業事例を織り込みながら論じられています。第1部が現状確認で、データをもとに「今起こっていること」が冷静かつバランスよく整理されており、世間ではともすれば混乱や誇張が見られますので、この部分だけでも値段の価値がありそうです。続く第2部はざっくり言えば省力化の事例集で、建設、運輸など現に人手不足にある業界の取り組みが紹介されていて地に足のついた議論になっています。第3部がこれらを踏まえての将来展望と論点整理で、著者の前2著と同様に過度に楽観的でも悲観的でもなく、いわば「等身大」の見通しが述べられていて好感が持てます。日本経済をめぐる議論にモヤモヤするものを感じている方は多いと思いますが、ぜひおすすめしたい本です。