同感

最後は今日の朝刊の「月曜経済観測」(インタビュー記事の連載コラム)です。第一生命会長の森田富治郎氏が登場していろいろ言っておられますが、この部分に注目しました。

――では日本が成長力を取り戻すにはどんな少子化対策が必要ですか。
 「やはり減税や給付金で子どもを持つ経済的な動機を強めるのが最も効果的。案外見過ごされているのが都市・住宅政策や地方の活性化だ。多くのサラリーマンが狭い住宅から長時間かけて都心の職場に通う毎日では、子どもをつくる余裕を失う。民間企業によるワークライフバランス(仕事と生活の調和)の取り組みも、効果が減殺されかねない」
(平成21年3月29日付日本経済新聞朝刊から)

ほかの部分はともかく、ここはまったく同感です。少子化対策ワークライフバランス厚生労働省がやるものだから、労働時間の話ばかりが取り上げられて、通勤時間が往々にして見過ごされます。もとい、見過ごしているとまでは申しませんが、しかし在宅勤務やサテライト・オフィスといった限られた施策しか出てきません。
現実には、東京都心で勤務する一般的なサラリーパーソンが「子どもが小さいうちは環境のいい郊外で」と考えれば、片道60〜90分(さらにはそれ以上)の通勤は避けがたいでしょう。となると、そういう人に時間外労働の免除とか勤務時間の短縮とか言ってもほとんど意味はないでしょうし、また、「せっかく長時間を通勤に費やしているのだから、なるべく職場に長く滞在して残業代をたくさん稼ごう」というのが合理的な行動になってしまいかねません。
まあ、厚生労働省としてみれば自分たちにはどうしようもない分野なのでしょうし、だからといって労働時間の短縮などをやらなくていいというわけにもいかない、というのはよくわかるのですが、それにしても、少子化対策ワークライフバランスを旗印に、さほど効果が大きくないのに企業への影響はけっこう大きい政策を当たり前のような顔をして押し付けるのは勘弁願いたいものです。