ベトナム人介護労働者受け入れへ

続いてはこれかな。だいぶ旧聞ですが、

 政府はベトナム政府と同国からの介護人材の受け入れ拡大で合意した。政府は1年以内に3000人、2020年夏までに1万人の数値目標を設け、ベトナム側もこれに協力する。期限と受け入れ数を掲げ、環境整備を急ぐ。介護分野の人手不足は深刻で、今回の数値目標方式をインドネシアなど他国にも広げ、介護人材を確保する。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO33346320U8A720C1MM8000/

これについても比較的最近書いたところなのでそれ以上言うこともあまりないわけですが、これについては1万人という規模の話であり、介護職員が現状すでに180万人、成り行きでは2035年に80万人近く不足するだろうと言われているのと較べるとそれほどのインパクトはないなという感はあります。まあ試験的に入れてみましょうという域を出ないのではないかと。それでどんな問題点や課題があるのか確認して今後の検討に生かすことができるならそれなりにメリットもあるでしょう。
ただ介護全体については利用者の支払能力不足に合わせた事実上の公定価格になっていることが低賃金労働を要請するという構造になっているわけで、これを維持するために外国人を多数受け入れましょうというのはやはりまずかろうと思います。もちろん団塊世代がお墓に入る時代になればマーケットも縮小に向かうでしょうが相当の期間があるので、五輪景気のように一時的に外国人を受け入れて対応するという話ではないでしょう。ということで介護保険料率を上げるなりなんなりして介護サービス利用者への配分を厚くして支払能力を高めるか、あるいは賃金引き上げを価格転嫁して支払能力のない人は自助努力でお願いしますとするか、なんらかのことをせざるを得ないわけで、国民の太宗がそれは嫌だというなら介護労働者の低賃金と外国人労働の受け入れは避けられないといういつもの話です。ここからは介護を離れて一般論になりますが、企業や経営者が悪くないというつもりもないにせよしかし企業にしても経営者にしても国民が買ってもいい負担してもいいという以上の価格はつけられないわけであってな。