派遣社員の待遇改善進む

今朝の日経から。上で最低賃金引き上げの話を書きましたが、派遣の時給はそれを大幅に上回る水準で推移しているようです。時給1646円なら、1日8時間20日で月額26万円を超えますので、なかなかの待遇といえそうです。

 派遣社員の時給上昇が止まらない。求人情報大手のリクルートジョブズが18日まとめた7月の三大都市圏(関東、東海、関西)の募集時平均時給は前年同月比2.1%高い1646円だった。プラスは38カ月連続で、07年2月の調査開始以来最高となった。サービスやIT(情報技術)を中心に人手不足が続き、派遣会社は時給を上げないと社員を集められない。

 派遣会社の中には時給引き上げ以外の工夫を凝らすところも出てきた。郊外から人材を得るため「派遣社員に交通費を支給する例が増えている」(エン・ジャパン)。事務職では珍しかった無期雇用に乗り出す例も増えている。派遣先で働いていない間も雇用契約が続き給与を払うため、人材をつなぎとめやすい。アデコは7月から事務職経験者を対象とした無期雇用の派遣サービス「キャリアシード」を始めた。
平成28年8月19日付日本経済新聞朝刊から)

正社員でなければ人材を確保できない、という状況をつくるのが非正規の正規化には最も効果的という、まあ当たり前の話ではあるのですが、そういう状況になってきたということでしょうか。派遣会社に高額な料金を払うくらいなら自社の正社員として取り込んでしまったほうがいい、という状況が拡大していくよう、ぜひとも適切な経済政策、金融政策をお願いしたいものです。
しかしこのアデコの「キャリアシード」、アデコのウェブサイトで宣伝されていますが(http://haken.adecco.co.jp/lp/careerseed/#anc02)、無期雇用であるだけでなく、研修や昇給制度まであり、モデル年収が経験3年、5年で300万円台(残業代月10〜20時間分含む)という、事務職としてはかなり優位性のあるものです。「一般事務、OA事務、営業事務、経理事務」ということですが、有効求人倍率が1倍を上回って推移する中にあっても事務的職業のそれはたしか0.2倍台をうろうろしているはず(すみませんウラ取りさぼってます)であり、本当にここまで優遇しないと人材確保できないものなのか、いささか不審な感は禁じえません。まああれかな、中でも優れた人材を囲い込んで、長期的にモトを取ろうという作戦なのかな。それなら最悪社内での使いまわしも利きそうですし。