大竹文雄先生

1月9日の日経新聞1面のインタビュー記事に登場しておられました。備忘的に転記しておきます。余談ですが、プロフィールにある「通説を説得力をもって覆す実証分析に定評」というのは、かつては小池和男先生の紹介としてたびたび類似の表現が使われていたことが思い出されます。

…日本の財政赤字が突出して大きいのは政府の規模が大きいからではなく、税収があまりにも少ないため。国債相場が暴落しないのは、消費税率などを国際標準に合わせてゆけば十分に税収があるという合意が市場関係者にあるからだ。
(平成22年1月9日付日本経済新聞朝刊から、以下同じ)

なるほど、なるほど、なーるほど。これはたいへん納得のいく説明です。

…製造業派遣をやめれば格差問題が解決するというのは幻想だ。正社員の特権ともいえる強い雇用保障を弱めなければ解決しない。しわ寄せは派遣社員や就職活動をする学生に集中している。

この文脈だと、「格差問題」というのは正社員と非正社員の格差が念頭に置かれているのでしょうか。であれば、解雇保障を弱めれば正社員が非正社員に近づくことになるので、両者の格差は縮小するでしょう。ただ、アメリカの実態をみれば、「全員非正社員化」することで全体としての格差はさらに拡大するような気がしてなりませんが、まあこれはどうなのかわかりませんが…。

…デフレや賃金引き下げで現役の働き手の多くが苦しんでいる。現役を退いた高齢者が、それと無縁でいるしくみはおかしい。年金改革が遅れれば高齢の有権者の割合が高まり、世代間の格差問題の解決がより難しくなる。

御意。実際すでに難しくなっており、そのせいでマクロ経済スライドが機能しておらず(ry

…市場原理を狭くとらえすぎているのではないか。…政権を保つだけのために反競争を志向し続ければ、結局そのツケは有権者や納税者に回る。政権交代に込められた期待は利権を断ち切り、政治の過程を透明にすることだったはずだ。自公政権の政策をすべてひっくり返すことではない

これまた御意。現実には、大竹先生の期待はそこにあるにしても、有権者の相当数の期待はとにかく無様な自公政権を断罪・懲罰することにとどまっていたかもしれません。政策どうこうではなくて。