日経社説

日経新聞は、きのう(6日付)の社説で連合に路線転換を求めました。お題は「連合は規制強化から転換を」。

 連合の古賀伸明会長が再選され2期目に入った。古賀体制はこの2年間、派遣労働者の働き方を制限するなど非正規雇用への規制強化を訴えてきた。だがそれが雇用の安定につながるかは疑問だ。多様な働き方を認める柔軟さがほしい。
…規制強化の動きの底流にあるのは、非正規の仕事を減らせば正社員への転換を促せ、処遇格差の問題が解決に向かうという考え方だ。しかし企業の人件費負担を考えれば、非正規から正社員への登用が進む保証はない。逆に職を失う非正規社員が増える恐れがある。
…正社員で働いてきた人たちの生活を過度に手助けすることが非正規雇用に悪影響を及ぼす懸念もある。連合は厚生年金の支給開始年齢引き上げに伴い、定年の60歳以降も働きたい人は65歳までの雇用を企業に義務づけるよう求めている。そうなれば企業は人件費圧縮のため非正規社員を減らすことも考えられる。
 連合傘下の労働組合の多くは正社員を中心に構成している。ひとつの企業での長期雇用が常識になってきた。その意識を変えなければ非正規雇用の安定を掲げても効果は薄い。
平成23年10月6日付日本経済新聞社説から)

日経新聞は月曜日(3日付)の社説では規制緩和全般を論じる中で「正社員の解雇規制の緩和が課題」と断言しておやと思ったのですが、この社説をみるかぎり現行の正社員の首切りをしやすくしようというよりは、専門家の間では大方の支持を得ている「より雇用調整の柔軟な多様な「正社員」」という方向性なのかなという感じです。
それはそれとして、高年齢者雇用の規制強化が労働市場に与える影響としては若年ではなく非正規雇用の減少を指摘しています。今回の規制強化で新たに就労する高年齢者の大半はおそらく非正規雇用的な仕事に従事するようになるでしょうから、たしかに直接的な影響を受けるのは非正規雇用ということになりそうです。