公開会社法

千葉法相が本年中の立法化に意欲を示しているそうです。NIKKEI NETから。

 千葉景子法相は4日、上場企業を主な対象に情報開示や会計監査の強化などを促す「公開会社法」(仮称)について、2月にも法制審議会(法相の諮問機関)に諮問する方針を固めた。監査役に従業員の代表を選ぶよう義務づけることや、社外取締役を親会社や借入先から選べないようにすることなどが論点となる見通し。投資家などには企業の経営や財務の透明性が改善するとの期待がある半面、「法の中身が経済界にとって見えにくい」(日本経団連幹部)と反発する声もある。
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20100105AT3S0400L04012010.html

まあ、私はそもそもこういう形式を定める規制というのがどれほど所期の成果を収めうるのかということに懐疑的なわけではありますが、それはそれとして、親子上場の禁止とか、子会社の重要資産売却などの重大な意思決定を親会社の株主総会で行うとか、記事にもあるような社外取締役の選任義務化と要件強化などについてはとりあえず経済界が反発するのは当然と申せましょう。
監査役に従業員代表を入れることについては、監査役会や経営委員会に労働者代表の参加を法定している国はそれほど珍しくもなく、これ自体はそれほど悪い話でもないでしょう(正直言って必要性もあまり感じないのではありますが)。大切なのはむしろ誰を選ぶかで、当然ながら従業員による投票などの民主的手続きで選任されるわけでしょうが、企業経営についての知識があり、経営判断の意味(善悪ではなく)を正確に理解できるだけの素養を持つ人でなければ務まらないことは明らかです。まあ、それなりの立場にあるジェネラルマネージャークラスになるでしょう。ある程度の企業であれば、建設的な寄与のできる適任者は何人かいそうです。いっぽう、従業員の中にやり手がおらず、労働者代表というよりは特定の政治的意図の実現を目的に経営に干渉しようという人が対立候補がないままに監査役に選任されてしまうと、これは経営者だけでなく労働者にとっても決して好ましいことにはならないでしょう。とりわけ規模の小さい企業においてはこうした心配も現実的なように思われますので、労働者代表監査役の設置は企業規模に応じた義務付けとすることが実用的には望ましいかもしれません。