さっそく

きのう福田内閣メールマガジンを取り上げましたが、今朝の新聞各紙によれば、さっそく首相は経団連首脳を呼び出して賃上げを要請したようです。

 福田康夫首相は六日、日本経団連御手洗冨士夫会長と首相官邸で会い、今春の労使交渉について意見交換した。首相は「景気を浮揚させるための一つのきっかけとして今春闘に期待する」と賃上げを要請。御手洗氏は「余力のある企業にはできるだけ配慮するよう言っていく」と述べながらも、「経済状況は非常に厳しい。結果として企業別にまちまちになることは避けられない」との認識を示した。
 御手洗氏は「我々が努力すると同時に、大変難しいことだが減税も検討すればさらに効果がある」と所得減税の必要性も指摘した。会談後、首相は減税の可能性について記者団に「今すぐどうこうという話ではない。返事をしておりません」と早期実施に慎重な考えを示した。
 春の労使交渉の最中に首相が経営側に「賃上げ」を要請するのは極めて異例。御手洗氏は「総理の危機感、現状認識はひしひしと伝わってきた」と記者団に述べた。
(平成20年3月7日付日本経済新聞朝刊から)

所得減税とはまた現実的でない提案を担ぎ出したものですが、御手洗会長としても所得減税がフィージブルでないことは重々ご承知のはずでしょう。政府としてみれば、民間企業に賃上げを求めることは最低賃金引き上げなどと同様に財源が不要な魅力的な景気対策でしょうから、御手洗氏としてはあえて減税を持ち出すことで、皮肉半分に「政府も努力せよ」とのメッセージを伝えた、というところでしょうか。
まあ、経団連としてみれば「余力のある企業はできるだけ配慮」「結果として企業別にまちまちになる」というのは数年来の主張と同じですから、別段どうということもないというのが現実かもしれません。