今年の10冊(1)

このところブログが止まってしまっていますが、とりあえず例年のこれだけは早いうちに上げておきたいので先に書いておきます。追い追い、キャッチアップをはかりたいと思います。回数を稼がなければいけないので、2回に分けます(笑)。なお特に順位をつける意図はありません。紹介順には意味はなく、著者名50音順です。なお今年は労働関係書籍に限ってみました。

有村貞則『ダイバーシティ・マネジメントの研究』

旧日経連の「ダイバーシティ・ワーク・ルール研究会」が日本型ダイバーシティ・マネジメントを提言してから6〜7年は経つでしょうか。著者はこの研究会の発足以前からすでにダイバーシティの研究に取り組んでいた人です。このところワーク・ライフ・バランスが大いに脚光を浴びていますが、残念ながらダイバーシティ・マネジメントまで踏み込んだ企業事例はまだ少数のようです。この本は在米日系企業、在日米国企業の事例調査を中心とした研究書で、数少ないダイバーシティ・マネジメントの研究書の中でも充実したものとして貴重なものといえそうです。

大内伸哉『雇用社会の25の疑問』

雇用社会の25の疑問―労働法再入門―

雇用社会の25の疑問―労働法再入門―

経済社会の実態をふまえ、バランスのとれた解説のなされた好著です。書評はhttp://d.hatena.ne.jp/roumuya/20070807

佐藤博樹小泉静子『不安定雇用という虚像』

不安定雇用という虚像―パート・フリーター・派遣の実像

不安定雇用という虚像―パート・フリーター・派遣の実像

佐藤氏が心血を注いでおられる東京大学社会科学研究所附属日本社会研究情報センターのデータアーカイブ(SSJDA)経由で、リクルートワークス研究所が実施したアンケート調査の個票データを再分析し、非典型雇用の実情を明らかにした本。データをもとに堅実に実態を示した優れた研究書だと思うのですが、いったい何なんだこの書名は。内容を示していないばかりか、あらぬ誤解を与えるだけの百害あって一利なしの書名。どうにかならなかったのでしょうか。

西尾久美子『京都花街の経営学

京都花街の経営学

京都花街の経営学

フィールドワークによる事例紹介として充実しているし、興味深いものだと思います。一見特殊に見えながら、実は企業経営とも通じる部分の多い合理的なしくみに感心させられます。書評はhttp://d.hatena.ne.jp/roumuya/20071029

ニッセイ基礎研『定年前・定年後』

定年前・定年後 新たな挑戦「仕事・家庭・社会」

定年前・定年後 新たな挑戦「仕事・家庭・社会」

よりよい定年後を迎えるには、というコンセプトは世間にありがちですし、語られている内容も類書とそれほど大きな差があるとまではいえそうもないのではありますが、類書との最大の相違点は当初1,500人、最終的に742人のサンプルを、8年間にわたり、アンケートだけでなくヒヤリングもまじえて追跡調査した非常に貴重なパネルデータの分析に基づいているという点です。もちろん、それはそれで一定のバイアスはあるでしょうが、それにしても説得力が段違いです。