賃上げは手当で

昨日の夕刊から。松下電器は、今次春季労使交渉での賃上げ回答を、全額子どもへの手当に配分することに決めたそうです。

 松下電器産業は十三日、今春の賃金労使交渉で回答する見通しとなった月額千円の賃上げを全額、子供のいる従業員に手当として配分する方針を固めた。子供一人に対して千円(三人目以降は二千円)を月給に上積みする。組合員の半数の約三万人が対象で、従来の一律配分を見直す形となる。東芝、NECなどほかの電機大手も千円の賃上げ原資の一部を育児支援、研修費補助などの手当に振り向ける方向で交渉している。来年以降の電機以外の労使交渉にも大きな影響を与えそうだ。
 同日午後に松下労連に通達、労連も受け入れる見通し。
(平成19年3月13日付日本経済新聞夕刊から)

うーん、人事屋の常識でいえばこれは「ベアゼロ」ということになるのではないかと思うのですが…。日本では、家族手当のような福利的給付については、賃上げ交渉とは切り離して別途交渉するというスタイルが労使慣行として定着してきました。これは秋に行われることが多く、そのため「秋闘」などと呼ばれています(でも、そういえば最近あまり「秋闘」って聞かないなぁ・・・やってるところはやってるんだろうけど。私のパソコンの辞書では「秋闘」は変換しましたが)。まあ、昨年のように特定の年齢層とか、職能資格などに重点配分するのと、家族手当に配分するのとなにが違うのか、といわれれば違うともいえないかもしれませんが。昨年からよく使われるようになった「賃金制度改善分」というような言い方をするのであれば、手当への配分も賃金制度改善ではあるでしょう。賃上げは復活の流れですが、内容的にはかなり変化しているといえそうです。