(独)労働政策研究・研修機構様から、『日本労働研究雑誌』2-3月合併号をお送りいただきました。いつもありがとうございます。
今号はまず例年このタイミングで掲載される「学会展望」があり、労働法、労働経済、労働調査の輪番で回っているわけですが今年は労働経済学が当たり年のようです。続く特集は「船員の働き方」というかなりニッチな(失礼)分野で、まずもって内航総連の畑本郁彦さんが紹介されている「内航船員の働き方について」がめったに触れることのない内容で非常に興味深いものがあります。続いて日本では珍しい産別単一労組である海員(全日本海員組合)の立川博行さんがその集団的労使関係の実情を紹介していてこれまたなかなか読まない話で興味深い。神奈川大学の久宗周二先生は、特殊かつ危険な環境下にある船員の安全・健康確保について論じておられ、仕事でたまに商船三井さんが川崎市にお持ちのたいへん立派な研修施設(船の形をしています)を利用させていただくのですが、そういえばその正面玄関前には海難事故殉職者の慰霊碑が立っていることを思い出したり。そして最後は2006年のILO海上労働条約の国内法化に心血を注がれた野川忍先生が法的側面を論じておられます。多くの人にとっては実務で活用する機会はほぼないのでしょうが、しかし学んでおくべき内容だろうと思います。