日銀は19日公表した「金融システムレポート」で、日本の銀行や信用金庫の高コスト体質を指摘した。なかでも中小の地銀は行員1人あたりの業務粗利益が欧州に比べて半分だと試算した。日銀が金融機関の体質改善に深く言及するのは異例だ。金融緩和が長引くなかで、金融仲介機能を担う金融機関の経営難を警戒し、収益源の多様化などの構造改革を求めた。
リポートでは「金融機関の収益性の評価」として、経費率の高さに焦点を当てた。米欧と比べて割高なのは人件費だ。給料の高さは米欧と同水準だが特に職員の多さが際立っているという。日本の労働市場は解雇や転職が難しいことが原因とみられる。
(平成29年4月20日付日本経済新聞朝刊から)
地銀の方々からすれば収益とか生産性とか日銀から言われるというのは激しくおまゆう感のある話ではないかと思うのですがそれはそれとして、人員が多いのは解雇や転職が難しいことが原因なのかね。これはさすがに日銀が言っているのではなく、日経さんの推測でしょう。
解雇とか転職とかいうからには、地銀は仕事が少ないのに人員が多すぎて余剰を抱えていると考えているわけですな日経さんは。まあたしかに地方は人口が減少していて地銀の仕事も減る方向なのでしょうし、だから合併とかで生き残りを図っているわけですが合併というのはそれにともなって余剰人員が出やすいのも一般的に事実でしょう(まあそれを減らして効率化するのも合併の大きな目的だが)。
ただ、人員が過剰で解雇したいんだけどそれが難しい労働市場だ、というのが本当だとすれば新卒採用はやめるはずですよね。まあゼロでないにしても相当に絞り込んでいるはずです。しかしまあたとえばこのあたりを見ても地銀の新卒採用意欲はそれなりに旺盛であるらしく、あまり絞っているという感じはしません。
まあ本当のところがどうかは事実関係をよく調べてみなければなんとも言えないのではありますが、しかしこれを読むとなにがなんでも解雇したいと考えているような記者か、自然減とか基本的な人事管理の知識もないような記者が書いているのだなあとは思った。
やれやれ。