韓国で専業主夫が急増

YOMIURI ONLINEから備忘的に。

 【ソウル=竹腰雅彦】韓国で家事に従事する「専業主夫」人口が急増している。
 男性が家事を行うのを「恥」としてきた伝統的意識の変化などが背景として指摘されている。
 韓国統計庁が1月末に公表した2010年の人口統計によると、非労働力人口のうち、活動状態を「家事」(専業主夫)とした男性は15万6000人。2005年の11万6000人から34・5%増えた。
 調査関係者は、女性の社会進出が進んできたことに加え、「儒教の影響で男は家事をしない風潮があったが、容認する人が増えた」と分析。不況による就職難のなか、安定的な職を目指す男性は女性より「待機時間が長期化しやすい」ことも理由に挙げた。一方、非労働力人口のうち、活動状態を「育児」とした男性は05年から横ばいの5000人で、「イクメン」増加とはなっていない。
(2011年2月7日17時51分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20110207-OYT1T00866.htm

うーん、しかし韓国の労働力人口は男性約1400万人、女性約1000万人(2007年)なので、たしかに増え方は大きいとは言ってもわずかなもの…いや労働力人口の1%超えてるんだから結構なものかもしれません。
わが国はというと、wikipediaの「主夫」(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%BB%E5%A4%AB)をみると2005年の国勢調査で約2万1千人。うーん、少ない。ほかに、ウェブ上をみると2003年の男性の三号被保険者が約8万人という記事がいくつかみつかります。わが国の男性労働力人口は約3900万人(2008年)ですから、高いほうでみても0.2%です。そうか、韓国に負けているのか。まあ五十歩百歩かもしれませんが…。
それにしても、国勢調査2万人と三号被保険者8万人、この大差が面白いですね。国勢調査にはメンツや建前(いや今は失業してるけど本来は家計を支えるんだ)が入り込むのに対して、社会保険のほうは背に腹は代えられないということでしょうか…。


(2月9日追記)
厚生労働省の高原正之氏から、統計についてご指摘をいただきました。ありがとうございました。高原氏はご承知のとおり厚労省の統計の総元締、プロ中のプロでいらっしゃいます。
ご指摘を要約すると以下のとおりです。

  1. 記事にある韓国の統計について「非労働力人口のうち、活動状態を「家事」(専業主夫)とした男性」だと、無配偶の男性も含まれてしまう。配偶者がいる、という条件がついているのではないか。
  2. 「非労働力人口のうち、活動状態を「家事」とした配偶者のいる男性」は、2005年の国勢調査では676,902人(日本人に限る)。うち60歳以上が631,860人、60歳未満は45,042人。60歳になると3号から外れること、妻が2号で夫がパートタイムの3号というケースもあることを考えると、男性3号被保険者80,000人が国勢調査と整合的でないとまではいえない。
  3. 本当に専業主夫を求めたいなら、「非労働力人口のうち、活動状態を『家事』とした配偶者のいる男性で、配偶者(妻)がフルタイムで働いているもの」を計算すべき

私の雑駁な要約なので、高原氏の意を尽くしていない可能性は高いですがご容赦ください。
極めて適切な指摘なのでコメントの余地もありませんが、簡単にコメントしておきますと、韓国の統計については私も記事にある以上のことはわかりませんのでなんとも言えません。
Wikipediaの「主夫」の記事については、リンク先をごらんいただければわかるとおり、「配偶者のいる男性のうち、20-59歳、「仕事に就いておらず家事をしている」者の人数」がカウントされていますので、ある程度は高原氏の指摘する計算に近いといえそうです。
さらに、Wikipediaの記事では「配偶者のいる男性のうち、20-59歳、「家事のほか仕事をしている」者の人数も記載されていて、約3万人となっています。これは高原氏の指摘にある「妻2号、夫パートタイムの3号」に近いものと思われますし、実際、高原氏が算出された「非労働力人口のうち、活動状態を「家事」とした配偶者のいる男性」のうち60歳未満の45,042人と、男性3号80,000人との差も35,000人となっていて近いものがあります。
となると、Wikipediaの記述で高原氏の算出された約45,000人に相当するであろう「2万1千人」に2倍以上の差があることになりますが、これが何に由来するのかは私にはわかりませんでした。確認するだけの手間もなかなかかけられませんので、これは不明ということで残しておきたいと思います。