投資・雇用で政労使合意検討

時事ドットコムから。

 政府は9日、法人税減税による企業収益の改善効果を確実に経済成長に結び付けるため、日本経団連や連合などと、設備投資の促進と新規雇用の創出に関する政労使合意を結ぶ検討に入った。国内投資促進円卓会議(議長・大畠章宏経済産業相)が11月にまとめた「日本国内投資促進プログラム」を土台にする。
 政府税制調査会は法人実効税率の5%引き下げに向け、詰めの調整を続けている。同日の会合でも池田元久経産副大臣が「何らかの(効果を)担保する措置を検討している」と発言。減税しても企業の内部留保や海外投資に回るだけとの懸念が根強いため、政労使一体で投資・雇用に取り組む姿勢をアピールする。(2010/12/10-00:13)
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2010120900999

うーん、気持ちはわかりますが、なんとなく筋悪な気が…。税制で国内投資や雇用を増やそうというのなら、国内投資をした企業、雇用を増やした企業に減税すればいいわけで、法人税を減税して企業の手元に残るキャッシュを増やして、しかるのちにその使途を制約しようというのは話が逆なような気が。やはり法人税減税の趣旨は企業が自由にできる資金を増やして企業活動を活性化し、それを通じて雇用も増えれば税収も増える、というものではないでしょうか。財務体質が痛んでいる企業は内部留保に回すかもしれないし、国内市場が飽和していると判断すれば海外投資するかもしれない。それでも、それで企業活動が活発になれば国内雇用もそれなりに増えるでしょう。国内で非効率な投資をするよりは、海外で収益率の高い投資をしたほうが中長期的には国内雇用への貢献が大きいように思います。
空論の可能性が高そうですがさらにいえば、税制で雇用を増やしたいなら、消費税増税で財源を確保して企業の社会保険料負担を軽減したほうがいいかもしれません。これは事実上労働力の価格の引き下げですから、その分需要が増えると期待してもいいでしょう(まあ、雇用過剰感が強いとあまり効かないかもしれませんが)。いやこれは法人税増税でもかまわない、というかこれだと雇用を増やさない企業にペナルティを課して雇用を増やす企業に補助金を出すという構図にもなるわけで、このほうが露骨に効くかも?まあ増税で企業活動が停滞する弊害のほうが大きいような気はしますが。
政労使合意に戻れば、とりわけこういう情勢下では企業の負担を軽減するのは政治的な困難をともなうのでしょうし、それだけに政権としてはできるだけ早期に目に見える結果を担保したいとの気持ちもよくわかりますが、あまり不自然なことはしないほうがよさそうに思います。