政策論争もいいけれど…

昨日の衆議院解散を受けて、日経新聞は本日の社説で「政権選択選挙の名に恥じぬ政策論争を」と訴えています。いわく「政権選択選挙の名に恥じぬ政策論争を強く望みたい。二大政党の自民、民主両党は速やかにマニフェスト政権公約)を公表し、有権者に判断材料を示す責任がある。」また、読売新聞も本日の社説で「衆院解散 政策本位で政権選択を問え」と訴えました。やはりいわく「「政権交代」の是非の前に、各政党が掲げる主要政策とその実行能力が問われている。/投開票までは40日間という長丁場だ。有権者はその間、各党の政策を十分吟味してもらいたい。」
たしかに、政策論争マニフェストも重要でしょう。ただ、今回ばかりはあまり政策論争をしてほしくないなぁというのが私の率直な感想です。
実際、現状をみても、参議院選挙以降というもの、総選挙を意識して与野党大衆迎合的な政策を競って打ち上げるという状況が続いています。この流れと勢いで40日間も「政策論争」をされた日には、双方ともおよそ実現不可能な大衆迎合策の羅列になるのではないかという気すらします。
まあ、両紙の社説をみても、民主党政権公約の財政面での裏付けについては疑問を呈していて、これについてはたしかに政策論争が必要でしょうが、それでは財源があれば民主党の政策をすべて実行してもいいのかというと必ずしもそうではないわけで、はたしてそこまで踏み込んだ議論になるのかどうか。もっとも、民主党民主党で、どうやら本当に政権を取ったらどうなるのかを考え始めたようで、外交面ではかなり現実的な方向性を出しているようですし、およそ最悪の政策にもかかわらず前回参院選から打ち出している農家の個別所得補償制度については実施時期を先送りするなど、それなりに修正の動きを見せているのは好ましいとは思いますが。
そうした意味では政策論争も望ましいわけで、経団連の御手洗会長が言っているように、社会保障や税財政、道州制などテーマを絞った政策論争なら大衆迎合に走ることなく有意義な政策論争ができるのかもしれません(そうでもないか)。
もっとも私は、必ずしも与野党の政策が異なるというか、変に争点をたくさん作る必要もないのではないかと思います。現実的に国全体の利益を考えて議論すれば、必要かつ実現可能な政策というのはおのずと限られてくるわけで、現実にはどちらが政権を取っても実施すべき政策はあまり変わらないのではないでしょうか。現実的でない議論は少数政党に任せておけばいいわけです。
ですから、今回の総選挙については政策論争はむしろストップして、誰が政策を実施するのか、どのように実施するのか、という観点から国民の選択を問うほうが望ましいのではないかと思います。実際、民主党は官僚組織に政治家を多数送り込むといった政権公約を作っているようですが、そうした観点をメインに議論したほうがいいのではないかと思うわけです。
まあ極論ではあるのでしょうが、政策面で妙に敵方との相違を強調しようとししすぎると、後で困るのではないのかなあと、余計なお世話と言われそうですが、しかし国民としてはあまり看過もできないと思うのですが。