公的部門での採用拡大

今朝の日経から。愛知県が警察官を追加募集することにしたそうです。雇用対策としてもまことに注目すべきものと申せましょう。

 愛知県警が年明けにも警察官を「特別募集」することが十一日、分かった。同県警は、毎年春と秋に採用試験を行っているが、景気後退で雇用不安が高まる中、優秀な人材を確保するチャンスと判断した。採用規模は数十人の見込み。同県警が特別募集に踏み切るのは初めてで、全国的にも極めて珍しいという。
 同県警では、大量採用した団塊世代の警察官が二〇〇六年度から定年期を迎え、〇九年度までの四年間で警察官全体の約一割に当たる千三百八十八人が退職する見通し。
 一方、最近までの景気拡大で民間企業に人気が集まった影響で採用試験の受験者数は大幅に減少。〇三年に約七千五百人だった受験者数は、今年は約三千五百人まで落ち込み、一定水準の人材を確保できない状態という。
 こうした中、急速な景気後退で企業の内定取り消しが相次いでいることなどを受け、県警は急きょ特別募集を決定。行き場を失った優秀な若い人材の囲い込みを図りたい考えだ。
 採用試験は年明けの見込みで、一九七八年四月二日以降に生まれた大卒者と高卒者を対象にした二種類。受験申込書は県警本部や各警察署で受け取れるほか、県警ホームページでも受験の申し込みができる。
 県警警務課は「県内では凶悪事件が相次いでいる。県民の安全・安心な暮らしを守るため、正義感に燃えた若い力が必要だ」と呼びかけている。
(平成20年12月12日付日本経済新聞朝刊から)

これですよ、これ。一般論として公務員が増えることには賛成できないにしても、警察官の増員には反対しないという人は多いでしょう。公務員の仕事で、必要ではあるが必ずしも充足されているとはいえない分野は、警察のほかにも福祉とか、環境関連などいくつもありそうです。その中には、若者が一生をかけるに値する仕事も多いはずです。
余っている分野を減らしたり、効率を上げたりすることももちろん重要ですが、国民的な同意が得られそうな分野については、公的な雇用を増やすという雇用対策は効果も大きく即効性もあり、十分考えられてよいのではないでしょうか。民間がダメなときは、記事にもあるように公的部門が人材を確保するチャンスでもあります。こういう時期にいい人をたくさん採用し、民間が調子よくなってきて競争が厳しくなってきたら公的部門は無理をせずに採用を縮小すれば、トータルでは安定してくるのではないかと思います。
ちなみに愛知県警察の採用状況はhttp://www.pref.aichi.jp/police/syokai/saiyou/joukyou.htmlにありますが、減少したとはいえかなり狭き門のようです。それは逆にいえば警察官を志す若者が多いということの裏返しです。追加募集は数十人ということでやはり狭き門になるでしょうが、愛知県には必要な範囲内でなるべく多くの採用を、応募者には試験での健闘を期待したいところです。