内定取り消し防止もやりすぎると…

今朝の日経から。

 参院予算委員会は十日、麻生太郎首相も出席し経済・社会保障に関する集中審議を開いた。首相は企業による新卒者の採用内定取り消しの増加について「これからスタートする人がかなり大きな失望を味わう。あってはならないことであり甚だ問題だ」と批判した。
(平成20年12月11日付日本経済新聞朝刊から)

内定取り消しについては、このところかなり大きな問題として取り上げられています。実際、5月に内定を得て就職活動を停止した人がここでそれを取り消されたら、新たに他の内定を得ることはかなり困難をともなうでしょう。正当な理由のない安易な内定取り消しはたしかに「甚だ問題」と申せましょう。
ただ、今回の局面での内定取り消しの中には、内定を出したときには到底思いもよらなかった状況にその後追い込まれ、大規模な雇用調整を迫られているというケースも一定割合含まれていそうです。そういう中では、一方でどんどん人がやめていっているのに、内定を出してしまったから新卒を正社員採用します、とはなかなか言いにくいケースもあるでしょう。
そういったケースまで「甚だ問題、ダメ」ということになると、少なくとも来年の採用では、各企業とも内定を出すのにおそろしく慎重になる危険性がありそうです。そうなると、ワリを喰うのはいまの三年生ということになります。
内定を取り消された人の窮状はまことに察しがつきますが、しかし現行法制を超えてあまりに締め付けてしまいすぎると、これはまたかえって弊害をもたらしかねません。バランスのとれた政策運営が望まれるところです。