強制消灯

きのうの日経新聞から。

 市場調査サービスのインテージ長時間労働の抑制を目的に、東京・秋葉原にある本社ビルの照明を午後十時以降は強制消灯するようにした。社員に無駄な残業の削減を促し、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)の確保につなげる。
 強制消灯後は社員が再点灯しても十分間隔で強制的に消灯する。消灯しないフロアを一カ所設けており、必要な仕事はそこで続ける。午後十時以降に残業する場合は事前申告を義務付けている。
 同社は以前から午後八時に強制消灯しているが、再点灯して残業を続ける社員もいる。勤労意欲の低下や健康障害を防ぐためにも、従来より強制力のある仕組みを導入した。同制度を導入した七月の一般社員の時間外労働時間は、前年同月に比べて約二時間減少した。
(平成20年10月6日付日本経済新聞朝刊から)

深夜に近づくと、大きなオフィスに1人、2人しか残っていないのに30人分の照明と150人分の空調がついている、ということが往々にしてあり、省エネルギーの観点からも問題視されています。夜8時とか、手ごろな時間で空調を切ってしまい、それ以降も働きたい人は個別空調の会議室などでどうぞ、という企業はけっこう多いのではないでしょうか。
それでも、空調であれば夏場を除けばなんとか仕事もできるでしょうが、照明まで消されるとなるとそうもいきません。事前申告プラス他のフロアへの移動、というのはかなり高いハードルですから、労働時間短縮効果はありそうです。また、深夜業を特定フロアに集中させることで可視化し、特定社員への負荷の集中を防止したり、業務フローの中のネック工程、律速段階を特定するといった業務改善効果も期待できるかもしれません。
時間外労働削減効果は月2時間ということで、一日平均にすると約6分というところですから、さほどではないように見えるかもしれませんが、そもそも10時を過ぎて働くというのは少数でしょう。多くの人には無関係で、遅くまで働く一部の人にはかなりの効果があった、というのが実情だと推測されます。まあ、短縮がすべて消灯効果かどうかもわからないわけではありますが。
いずれにしてもこの施策、「8時を過ぎたらそろそろ帰ろうよ」「10時過ぎまで働くなんて勘弁してよ」という会社のメッセージを伝える手段としては、まことに効果的といえましょう。従業員だって、大半は「8時を過ぎたらそろそろ帰りたい」「10時過ぎまで働くなんて勘弁してほしい」と思っているでしょうし。まあ、例外がどのくらいいるのか、というのはまた別問題ですが…。