早起きは三文の得

とは申しますが。
ユニクロ」のファーストリテイリングは、本部の所定就業時間帯を2時間早めて午前7時〜午後4時とするそうです。今朝の日経から。

 カジュアル衣料品店ユニクロ」を運営するファーストリテイリングは9月から、就業時間を現在より2時間前倒しし、午前7時〜午後4時とする。仕事を終える時刻を早め、その後の時間は社員に語学やビジネス上の知識を学ぶ時間に充ててもらう。世界展開を進める上で必要な人材の育成につなげる。
 東京本部(東京・港)などで働く社員約2000人が原則対象となる。…店舗で働く社員は対象外とする。
柳井正会長兼社長は「語学だけでなく、本や新聞を読んで知識を得ない限り、良いビジネスマンにはなれない」と就業時間を変える理由を説明する。
…就業時間の変更はこうした狙いのほか、電話のやりとりが少ない早朝から働けば「集中して仕事ができる」(柳井会長)との読みもある。同社には労働組合がない。
平成23年8月30日付日本経済新聞朝刊から)

始業時刻を早めるのは省エネや通勤負担の軽減のためにも考えられる施策だとは思いますが、いやそれにしても「その後の時間は社員に語学やビジネス上の知識を学ぶ時間に充ててもらう」ってそれ仕事だろ
もちろん私も再々書いているようにホワイトカラー、特に専門的あるいは高度なそれは仕事と勉強の境界があいまいで、それに適した労働時間制度を考えるべきだと繰り返し主張していますが、これはあくまで働く人が業務指示を超えて自発的にやる部分を想定しているわけで、社長が「午後4時以降は語学やビジネス上の知識を学ぶ時間にしなさい」と言ってそれをやらせるのであればいかに「勉強」であっても業務であり、それで1日8時間・1週40時間を超えるのであれば割増賃金の支払いを要します(もちろん36協定の締結・届出なども必要になります)。
まあ帰宅して自宅で、あるいは帰路途中の図書館で新聞や本を読むのも仕事なのかと言われればそれは違うだろうというのが常識だとも思いますが、職場で上司の監督のもとに読んでいるとなると、そのために始業時刻を早めているわけですからこれは仕事と言わざるを得ないのではないかと。
それにしても日経の記事が最後に「同社には労働組合がない」と書いているのがなんともいい味出してるなという感じで、言わんとしているのは「こんなこと組合があったらこうも簡単にはできませんよね」ということでしょう。実際港区のオフィスだと朝は通勤片道2時間とかいう人もいるはずで、5時前に自宅を出るとなると新聞読めと言われてもまだ朝刊配達されてませんとかいう人もいそうだなあ。まあ都心から距離のある郊外は朝刊の配達時間もそれなりに早いらしいんですけどね。
どうもこの柳井さんというお方、たしかに経営者としては傑物なのだろうと思いますが、「泳げないやつは沈めばいい」とか平然と言ってしまったりする(http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20051222#p2、もっともこれのオリジナルはビル・ゲイツらしいですが)あたり、どうも尊敬できないというか好きになれないというか。店舗のイメージとはうらはらにけっこうブラックだというウワサも耳にしますしねえユニクロ