米国の年次有給休暇

U.S.Frontlineのサイトで、こんな記事をみつけました。

 米国は先進国で唯一、有給休暇が法律で保証されておらず、実際に与えられる休暇の日数も他の先進国に比べて少ないことが、経済政策研究センター(CEPR)の最新調査で明らかになった。
 ロサンゼルス・タイムズによると、米労働者に提供されている年次有給休暇は平均19日(法定休日7日と休暇12日)だが、労働者の3分の1から半数がこれを完全に消化していない。これに対し、欧州では20日以上の有給休暇が法律で保証され、フランスが31日と最も多いほか、オーストリア、イタリア、ポルトガルでは20〜22日の有給休暇とは別に13日の有給休日が保証されている。さらにオーストリアでは、休暇中に引き出す給料に税控除が適用され、スウェーデンでは休暇中は通常の給料の108%、ニュージーランドでは112%がもらえる。
 米国では所得が多いほど有給休暇も多く、時給15ドル以下だと有給休暇を与えられる割合が69%だが、それ以上だと88%だ。年に5週間以上有給休暇がある人が全体の13%いる一方で、民間企業労働者の25%に当たる2800万人には全く与えられていない。大多数を占める中間所得層は、有給休暇があってもすべてを消化できなかったり、休み中でも完全に仕事を離れられない例も多い。
 また、米労働者の25%、管理職の33%は休暇中も何かあれば対応するよう上司から求められている。仕事のために休暇を中止・延期したことがある人も19%に上るほか、男性労働者の39%、女性労働者の21%は休暇を取ることに罪悪感を抱いている。
http://www.usfl.com/Daily/News/07/07/0717_020.asp?id=54379

人事労務業界では「欧米では年次有給休暇の完全取得が当然」というのがなんとなく常識となっていて、たとえば年次有給休暇の計画的付与が導入された際の旧労働省の通達をみても「我が国における年次有給休暇の取得率が、完全取得が原則である欧米諸国と比べてきわめて低い水準にとどまっていることにかんがみ」(昭63.1.1基発1)と述べられているくらいですが、案外、常識も疑ってかからないといけないようです。まあ、取得率はまだしも日本より高そうですが…。
それにしても「オーストリアでは、休暇中に引き出す給料に税控除が適用され、スウェーデンでは休暇中は通常の給料の108%、ニュージーランドでは112%」とは、オセアニア諸国はなかなか休暇を厚遇しているようです。給料の額が多いのは残業代とかの分を一部反映しているのでしょうか?