休暇分散化 連合の見解

引っ張りますが(笑)、8日に開催された休暇分散化ワーキングチームの資料が観光庁のサイトに掲載され、その中に連合の見解もありました。

1.「年次有給休暇取得」について

(1)日本の労働者の年次有給休暇取得率は47.4%(2008 年)と、フランスやドイツのほぼ100%と比較して、低水準にとどまっている。仮に、年次有給休暇の完全取得が実現した場合、15兆6,000 億円の経済効果と187.5万人の雇用創出効果(観光地域経営フォーラム報告書)が見込まれており、政府の成長戦略の下に、観光産業の発展・拡大、雇用の創出・安定化をすすめる必要がある
(2)連合は、年次有給休暇の最高付与日数を25日(現在20日)、最低付与日数を20日(現在10日)に引き上げることを求めている。また、労働基準法第39条第6項に基づく「年次有給休暇の計画的付与制度」や、労働基準法第39条第4項に基づく「年次有給休暇の時間単位付与制度」の活用を図るなど、年次有給休暇の取得促進につながる具体的施策の展開とその推進をはかるべきである。

2.「休暇分散化」について

(1)施策を実施するにあたっては、情報を広く開示し、国民各界各層が参画した議論による合意形成を通じて策定すべきである。
(2)5つの地域ブロックに分けて行うとしているが、労働者と子どもの休暇が異なってしまうことや、労働者がかえって休暇を取得できなくなるようなことを避けるよう、十分な条件整備が必要である。
(3)「休日となる『国民の祝日』の日数は増やさない」としているが、5月1日を国民の祝日とし4月29 日の「昭和の日」から5月5日の「こどもの日」までを連休とする、「太陽と緑の週」を制定した上で、労働者が休暇の使い方に自由度を持ち、地域活動などに参加できるよう配慮すべきである。
(4)本社と支社で所在地が異なる場合、「休暇分散化」が有効に機能するかどうか、その影響を考慮すべきである。また、製造業等では、地域(工場)毎に稼働日が異なると、複数地域(工場)に納品している部品メーカーは、すべての稼働日に対応する必要が生じる。その結果、特に中小企業を中心に、更に休暇が取りにくくなることや時間外労働・休日労働の増加など、労働条件が悪化することが危惧される。
(5)「連休の旅行が安くなる」としているが、旅行業・宿泊業等が一律に平日料金にした場合、利益が低下し業績がマイナスとなる可能性がある。雇用創出効果が計算どおり得られるかどうか慎重に検討すべきである。
http://www.mlit.go.jp/kankocho/iinkai/suishinhonbu/pdf/kyuka_wt_03_07.pdf

年次有給休暇付与日数の増加や「太陽と緑の週」はともかくとして、まずは年次有給休暇の取得促進を持ってきたのは順当なところでしょう。休暇分散化に対する懸念もまことにもっともなもので、いざ本当に実施しようとなると労働組合は休日設定に関する労使協議の当事者となるわけですから、問題意識が高いのは当然といえましょう。
いずれにしても、当事者の意見をよく聞いて、慎重に進めてほしいものです。