(株)日本法令様から、『ビジネスガイド』7月号(通巻959号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。
今月号の第1特集は「令和7年度新設&改正“使える”助成金」で担当者のマストアイテムと言えそうですが、第2特集の「従業員にオンラインカジノ利用の疑いがある場合の対応」がまことに時宜を得ていて感慨深いものがあります。注目を集めている案件かつ相当の拡がりが想定されている案件だけに、いざその時に備えた理論武装と心構えは必須かもしれません。第3特集は「「福祉的雇用」からの転換期にある高年齢労働者の評価の仕組みの考え方」で、高年齢労働者が拡大する中、60歳以降は安い賃金でそれなりに働いてくれればそれでよし、評価とかわざわざ手間暇かけるまでもないという発想の転換が進んでいるということでしょうか。まあ毎月の感想ではありますがホント今の人事担当者は大変だ。八代尚宏先生の連載「経済学で考える人事労務・社会保険」は「正規・非正規間の不合理な待遇差」ということで、特に賞与と退職金に着目して論じられています。賞与については非正規の長期勤続化・基幹化が進む中で一定の導入拡大が望ましい一方、退職金については正規においても足止め抑制のため縮小が見られる中では非正規への導入も慎重であるべきとの所論です(こう簡単にまとめると八代先生に怒られるかもしれませんが)。ちなみに私は有期雇用の退職金については雇止め合理性判断とリンクした形で導入する(一種の金銭解決)ことは検討に値すると考えています(これは過去何度も書いたと思う)。
大内伸哉先生のロングラン連載「キーワードからみた労働法」は「労働組合法上の使用者概念」を取り上げ、雇用関係の複雑化が進展する今日にあってまだ法的論点が多く残されているこの問題について、朝日放送事件の労委・裁判所の各級の判断をトレースしつつていねいに解説しておられます。コラムで紹介されている1993年の菅野和夫先生による高裁判決批判の先見性にはあらためて感服させられます。
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