ビジネスガイド11月号

 (株)日本法令様から、『ビジネスガイド』11号(通巻926号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

 今号の特集は1本で「助成金申請 不正受給審査の仕組み/不支給への落とし穴」となっています。「不正受給審査の仕組み」と言われると一瞬不正受給奨励のように見えてしまいますが(そんなことないか)、これはコロナ禍で特例支給された雇用調整助成金などの助成金が、迅速な給付が強く望まれたことで多数の申請の審査に時間をかけることができず、まずは支給して事後的に不正受給の審査を行っているというものです。厚生労働省会計検査院に多額の不正受給を指摘されたことがニュースになったのは記憶に新しいところですが、そのような事情なので不正受給がなくても審査に入られる可能性があるため、その仕組みや対応などを解説するという趣旨のものです。なおもう一つの「不支給への落とし穴」というのも多くは制度変更があったにもかかわらず前回同様に申請したところ不支給となるという例が多いらしく、これもコロナ禍で特例が多く設けられたことの結果という部分は大きそうです。毎月思うのですが担当者は本当に大変だ。
 なお八代尚宏先生の連載「経済学で考える人事労務社会保険」は「外国人労働の経済効果」ということで、先月に続いて外国人労働者を取り上げておられます。外国人労働者受け入れには日本人の雇用と置き換わる代替的効果だけではなく、労働力不足を補うことで経済活動が維持される結果日本人の雇用も増加する補完的効果もあることを指摘した上で、過去の西ドイツにおける日本人炭坑労働者受け入れの例をひきながら、合理的な制度設計のもとでの受け入れのメリットを説明しておられます。大内伸哉先生のロングラン連載「キーワードからみた労働法」は「合理的配慮義務と自動退職」で、障害者雇用促進法で合理的配慮が法制化されたことを踏まえて、いわゆる休職満了による自動退職について、休職命令の合理性判断などについて解説、考察されています。