大内伸哉『人事労働法』

 神戸大学大内伸哉先生から、ご著書『人事労働法ーいかにして法の理念を企業に浸透させるか』をご恵投いただきました。ありがとうございます。

 副題のとおり、企業の人事担当者向けの労働法の教科書というコンセプトの本です。労働者の納得した合意(「納得合意」と呼ぶ本書のキーコンセプト)に対してまで裁判所は強行法規を強制すべきではないので、納得合意を得られる人事管理によって紛争を防ぐべく、「労働法の理論体系を、裁判規範ではなく、企業に対して、どのような内容の義務をどのように履行すべきかという行為規範の観点から構築しよう」という、まことに野心的な試みの本といえましょう。著者にはすでに「労働法で人事に新風を」という類似のコンセプトの著書がありますが、それを本格的に理論化・体系化したものと言えそうです。
 目についたところをバラバラと拾い読みした限りでもかなり刺激的な議論が見られ、大内先生の深い思索を感じる一方で、伝統的な労働法学の立場からは異論も多そうに思われます(大内先生は伝統的労働法とは異なる労働法ということで人事労働法と称するとのことです)。じっくり勉強してみたいと思いますが、しかしこれ企業の人事担当者には少々難しすぎませんか先生…?
労働法で人事に新風を

労働法で人事に新風を