バスケットボール新リーグ・フォロー

昨日バスケットボールのJAPAN2014タスクフォースが開催されたとのことで各紙で報じられています。だいぶ細部が明らかになってきたようで、また読者の方から興味深い情報提供などもありましたので、フォローのエントリを書いておきたいと思います。この間春闘のベア回答が出ましたし日経「経済教室」では八代・濱口・阿部という3巨頭が登場しておられているというのになにやってんだろう私。
さて今回は朝日の記事が詳しいようです。

 バスケットボール男子の2リーグ併存などを解消できず、日本協会が国際連盟から無期限の資格停止処分を受けている問題で、解決のための作業チームは25日、2リーグを統一してつくる新リーグ(3部制)の参入条件を発表した。1、2部はプロリーグとし、3部にあたる地域リーグ(仮称)はアマチュアも認める。1、2部には様々な条件を設け、クリアできないチームは3部に回る。
 最も重視する本拠アリーナについて、1部は5千人、2部は3千人規模を求め、ホームゲームの8割を開催することとした。財務にも基準を定め、債務超過でないことや3年間継続して純利益が出ていることを求めた。母体企業から支援を受けられるチームは認めず、独立した法人が運営することを条件にした。
 選手の最低年俸は当初案の1千万円から300万円まで引き下げる見込み。新リーグは4月1日に運営法人を立ち上げ、月末まで参入希望チームの申し込みを受け付ける。審査を経て所属リーグを決め、2016年秋の開幕を目指す。
 国際連盟のワイス財務部長は、日本協会が受けている資格停止処分について「6月には解除できるのではないか。7月以降の大会出場に向けて準備してほしい」と話した。
■新リーグの主な参入条件

 1部2部地域リーグ
ホームアリーナ収容人員5,000人収容人員3,000人特になし
年間収入2億5,000万円以上1億円以上特になし
チーム数12〜1616〜24既存のリーグに所属し、1、2部に入らなかったチーム
年間試合数60試合をめど60試合をめど1、2部より少ない可能性
選手構成マチュアは2人以下プロ契約を5人以上プロ選手を抱える必要はなし
平成27年3月26日付朝日新聞朝刊から)

まずもっての第一印象としてトップリーグとひとくくりにしているものの1部と2部の格差がかなり大きいと感じます。
たとえば、依然としてアリーナは最大の課題のようであり、しかし昨日(3/25)付日刊スポーツによれば川淵チェアマンは取材に対して「「(5,000人は)変わらない。そこが変わるときは(チェアマンを)辞めるとき」と語気を強めた」との強い意志を示したとのことです。先日のエントリでも書きましたがそれなりの儲けを出すにはそのくらいの器が必要だということに加えて、ほとんどのチームでは自治体の協力が不可欠になるでしょうから、本気でやるならそのくらいやりなさいよということでハードルを上げているという面もありそうです。bjの京都が市に協力を要請したとの記事もみかけましたが、やはり相当にやる気を出さなければ話が進まないでしょう。
その一方で、2部については3,000人とかなりハードルが下がっています。この規模ならちょっとした地方都市なら確保できるはずで、すぐ思いつく例として八王子市に昨年できたばかりのエスフォルタアリーナがあり、八王子トレインズという新チームがここを拠点に来季からJBDLに参入するそうですが、これがたしかスタンド席が2,000あり、フロア上に椅子を並べれば十分3,000は行けそうな規模です。ということでbjリーグの多くのチームも2部であれば現状利用している施設で間に合いそうです。
むしろ「ホームゲームの8割」のほうがチームによっては高いハードルになっているようで、たとえば本日(3/26)付の日経新聞朝刊によれば「7カ所の体育館を併用するbj青森」の「下山保則社長は「吹雪の中で3〜4時間掛けて1つの体育館に来てもらうより、各地方を回る方が地域密着になる」と強調」したとのことですし、やはり本日(3/26)付のサンケイスポーツによれば「札幌と函館(8月に完成予定)で5,000人規模の3会場を使えるNBL北海道の橋詰公人CEOは「新幹線の延伸もあり、函館はマーケティングの上で外せない」。競技が盛んな帯広や旭川での開催を増やすことで「道内全体の底辺強化にもなる」と話し、「収益を上げるための方法論を否定されては」と困惑した」とのことです。このあたりは、ホームタウン密着を求めての8割開催なのか、5,000人という規模を求めての8割開催なのか(それより小さいアリーナでの開催は2割まで)、あるいはその両方なのか、その意図・趣旨をふまえて今後も検討されるのではないでしょうか。
加えてアリーナについてはいかに「おさえる」か、という実務的な問題があり、年間60試合の半分(ホーム)の8割ということだと24試合、12週という計算になります。バスケットボールのレギュラーシーズンはまあ7〜8か月、30〜35週というところでしょうから少なくともその1/3からそれ以上アリーナを占拠することになるでしょう。もちろんこれも席数と同じで本気でやるつもりがあるならアリーナの所有者・管理者と折衝して確保しなさいということでしょうが、稼働状況によってはけっこう難航するかもしれません。逆にいえば、一度ホームアリーナをおさえることに成功すれば毎年毎年あちこち手配して回る必要はなくなるという話でもあります。
もう一つのハードルだった最低年俸については報道を信じるなら(これについては後述)1,000万円から300万円へと大幅に引き下げられたようで、関係者は胸をなでおろしているのではないでしょうか。これも先日も書いたとおりあまり高い最低年俸はかえって若手選手の活躍の場を狭めて強化にも支障となる可能性もありますので、この方向性は歓迎できるものだろうと思います。
さて今回はチームの年間収入の基準も出てきましたが、上でも参照した本日付日経朝刊によれば「完全プロのTKbjリーグの現在の平均収入は約2億円とみられる」とのことですので、その半額の1億円というのは相当程度bjに配慮したのでしょう。ここでも1部と2部の格差はかなり大きなものがあります。
ただこれは当然ながら選手の年俸と関係してくる話であり、本当に大丈夫かと思うところもあります。つまり、bjの場合は平均2億円の年間収入に対して6,600万円のサラリーキャップが必要になっているわけです。実際、これについては、私の手元にあるきのうのプレスリリースによればまず「チーム人件費が売上収入の50%を超えないこと」が要件となっていて、その「目安とする」のが1部2億5,000万円以上、2部1億円以上だということになっています。チーム人件費の範囲は別途定めるとのことですがおそらくサラリーキャップの対象範囲よりは広いと思われ、まあフロントは含まないが現場の監督、コーチ、トレーナーやマネージャーなどは含むというところでしょうか。
つまり、1部であれば年間収入2億5千万円を求められ、チーム人件費はその半分の1億2,500万円が最大限ということになります。これはまあ現状のNBLサラリーキャップが1億5千万円であることを考えればまあまあ同水準に近い(人気のある・強いチームはもっと売り上げるでしょうから)ところかもしれません。
いっぽうで2部については、ギリギリ練習で5on5ができる選手10人に監督、コーチ兼マネージャー、トレーナーのスタッフ3人で合計13人というこじんまりしたチームを想定しても、1億円の売上しかなければチーム人件費は最大で5,000万円、平均約380万円で最低年俸の300万円に近いレベルであり、まあこれは最低の想定であって現行bjのサラリーキャップが6,600万円なのを考えればそんなものだということかもしれませんがしかしそれでいいのか
選手構成についても格差は大きく、記事にもあるとおり1部についてはアマチュア契約が2人まで可、2部はプロ契約が5人以上となっています。契約形態がアマチュアとプロの2種類だけなのかどうかははっきりせず、プレスリリースをみると日本人選手については最低年俸のほか選手種類、契約条件、人数制限なども定めると書かれています。選手種類というのは、これは他の競技でもありますが日本人でも外国から帰化した選手については別途枠があるとか、逆に日本に一定期間以上在住通学した場合は外国籍でも日本人とみなすとかいった話を決めていくということでしょうが、契約条件というのがなかなか微妙なところで、あるいはプロ契約の中にも複数種類を設定し、現状のbjにあるような拘束度は低いが最低年俸が適用されないという契約条件も検討されているのかもしれません。
マチュア契約というのも、(過渡的かもしれませんが)企業チームの社員選手はこれに該当するのでしょうが、Jリーグ特別指定選手のようなものも想定できるように思います。アマチュアだから無給と決まった話でもないかもしれませんが、トップリーグでも2部だとプロ契約は5人いれば足りるというのは選手にとってはあまり明るい展望のある話でもなさそうに思えます。もちろん、いいプレーをして勝って人気が上がって売上が5億6億と増えれば年俸も上がるわけで、プロなら当然だろうという話かもしれませんが…。まあこのあたりは今後の検討ということのようですので、選手にメリットのある方法を考えてほしいものだと思います。
ということでここまで、2部の中での格差が大きくなりそうな感じの設計になっているように思われます。2部といっても1部から落ちてきたチームをはじめ1部昇格をめざすチームならば5,000人のアリーナも確保し、それなりの売上もあって選手の年俸も高いだろうと思われますが、2部からスタートしてアリーナも3,000人規模、選手の相当割合がアマチュア契約というチームだと、仮に2部で昇格圏内に入ったとしても(外国人選手のプレゼンスが大きいのでありえないことではない)、アリーナや売上の面で1部に上がれないということになりそうです。ということで、2部は1部をめざすチームと2部定着でよしとするチームの格差が大きくなりそうで、あまり力量差の大きい試合では観戦の興趣がそがれて営業的にも…という心配もありそうですが…。
さて今回おおいに注目されるのが1部・2部ともユースチームの保有が必要とされたことで、これは興行面よりは強化面からの要請だろうと思われます。
もともと日本の団体ボールゲームはジュニア〜ユース世代の強化は学校運動部に大幅に依存しており(個人種目の中には卓球やテニス、水泳やスケートなどクラブ組織の存在感が大きいものもありますが)、バスケットボールの場合も小学生はスポーツ少年団とかでミニバスをやっているわけですが、中学以降はほぼ学校のバスケットボール部、いわゆる「ブカツ」がほぼすべてという状況です。
これにはもちろんいい面もあるわけですが弊害もつとに指摘されており、特にFIBAが問題視していると思われるのは代表チームの強化が進まない点であろうと言われています。つまり高校大学のチームにとっては自校のチームが国内大会で優勝することこそが最重要であり、日本代表がU-17やユニバーシアードで勝とうが負けようがどうでもよく、自校の選手が日本代表に選ばれてもさほどうれしくもないということになってしまっているというわけです(まあどの程度そうなのかはバラツキが大きいような気はしますが)。
代表的な例として前々から男子のU-17の世界大会と日本のインターハイの時期が重なっているという問題があり、日本協会としては学校運動部の大会は夏休みにやらざるを得ないと説明するわけですがそもそも欧州人にすれば学校運動部ってなんですかという世界であって理解が得られるわけもなく、いっぽうで学校としてみればしょせん勝てない国際試合よりインターハイで勝つ方がよっぽど大事だから有力選手を代表に出したがらないという話も聞こえてくるわけですからFIBAが怒らないわけがないでしょう。そこで昨年はついにU-17日本代表がインターハイの決勝戦を欠場するということになり、衆目の一致する優勝候補だった明成高が主力2人を派遣(これはたいへんな英断だったと思いますが)した結果福大大濠高(こちらも1人派遣した)に敗退しました。ちなみにウィンターカップでは順当に?明成高がリベンジを果たしていますが、この間、日本協会も高校生の最高峰の大会をインターハイからウィンターカップに変更するという決定をしています(いかにも弥縫策にみえますが高校連盟の抵抗を考えれば相当の勇断と評価すべきと思います)。
もちろんそれだけではなく、たとえば中学校でスターだった選手も高校に入ると(目先の勝利のためには上級生が出場するのが合理的なので)いきなりまったく試合に出られなくなるため成長が止まるとか、上級生でも目先勝つにはタイムシェアするより主力選手がずっと出たほうが合理的なのでレギュラー選手ばかりが出場して6番手以降はとたんにプレイタイムが少なくなるとか(もちろん主力のけがのリスクも高まる)とかいった問題も指摘されているようです。
ということでサッカーがJリーグ創設と並行してユース組織を作ってユース世代の育成・強化を複線化したことはわが国では非常に画期的なことだったと評価されているわけで、バスケットボールでもこれを機に学校体育の一本足打法からの脱却をはかることができればやはり画期的でしょう。ちなみにFIBAからは有力選手がほとんどすべて大学進学することに対する問題意識も示されているとのことで、まあ大学日本代表の成績をみるとそう言いたくなる気持ちもわかりますが、先日も書いたように体格的な問題などの理由もありますし、そもそも企業チームの撤退が相次ぐ中では選手としても学士号くらい取っておいたほうがと思うのも自然であり、このあたりもプレイヤーズ・ファーストでの検討をお願いしたいところです。
さてだいぶ長くなってきましたが読者の方から興味深いコメントをいただきましたので以下お返事を書いておきたいと思います。まず頂戴したコメント全文を再掲します。

・・・
申し訳ないが、前面的に書きなおす必要があるような内容ですね。
元にしている各種の数字が全然違う為、推敲・推測がまとはずれです。
特にタスクフォース・川渕氏へのあてこすりは間違った内容をベースにして批判してますので謝罪ひつようなレベルかと思います
色々間違っていますが、書き出すと大量にあって大変なので数点だけにします。
まず、最低年俸1000万
これが、そもそも間違いです。
川渕さんの発言は最低『平均』年俸1000万です。
殆どの大手マスコミは平均を省いて報道してますが、
NHKなど最初から平均を入れて報道しています。
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/sports/basket/all/2015/columndtl/201501280005-spnavi?page=3
最低1000万と平均1000万では全然違いますよね。
最低1000万をベースに長々と書いてますね。
根本から見直し必要ですよ
>「20歳以下の選手を1クオーターに必ず1人起用する」という要件も
>あげられていて同様の趣旨と思うのですが、
>しかし20歳で年俸1,000万円のレベルに達している
>選手というのも相当に例外的ではないかと思います。
今検討されている、最低年俸は300万です。
さて、20歳で年俸300万円のレベルの選手、極端に少ないでしょうか?
Jリーグの年俸仮説も全然違いますね。
まず、J1でA契約24名いないチームは殆どありません。
また、J2でも8割以上のクラブが24名います。
それどころか、A契約選手が24名以上のクラブは、約20クラブ存在してます。多いクラブだと30名近くのA契約選手がいます。
今年のJ2だと8クラブが24名以上のA契約選手がいます。
これは、自クラブのユース出身でユースから直接昇格した選手は
A契約でも一定年齢まで24人の枠外として扱われるルールがあるからです。
頑張って、地元の子を育成してきたクラブを優遇する考えです。
まあ、高校年代にもなると親から離れて地元外のユース行くのも増えるので地元の子とは言えないのも多数ありますが、少なくとも育成はしているわけです。
以前は、最低年俸を決めていましたが、大分前に撤廃しました。
クラブの財政という問題もありますが、それ以上にB契約選手は
移籍の自由度がA契約選手、C契約選手と比べて高くなっており
J1の強豪クラブでB契約を提示されたなら、J1下位やJ2に
移籍してA契約を勝ち取る流れが普通になっています。
また、クラブもB契約を何年も続けるなら解雇すべきと言う
考えがスタンダードになってきてます。
何年もB契約しかできないなら外でA契約を目指すか
プロとして日本でやるのは諦めなさい。という考えです。
これに対して、野球は移籍の自由が一切ありません。
活躍して、年俸も億を越える方が7年(うろ覚え)で
フリーエージェントを取りますが、2軍の最低年俸選手は
何年たっても自分が外の球団でなら活躍できると思っても
それが事実であっても移籍は一切できません。
労使の事を考えるなら、移籍の自由度・契約・育成(子供のときから金をクラブが出して育成してもらった)等々含めて
考察すべきです。

yellow
そもそも最低年俸1000万でなく
最低平均年棒1000万と言っていますよ。
サッカーの話もA契約の人数制限外扱いのユース卒枠
とか知らない上に勝手に最小人数とか決めつけて計算ですか(苦笑)
余りにも無知な内容が並んでいて呆れます。
スポーツの労使、年俸の事は書かないほうがよいせしょね。
撤回した方がよくないですか

ハンドルネームが違いますが同じ方だと思いますので以下yellow氏で統一しますが、まず途中にリンクのあるNHKの1月29日の記者会見の記事と、JリーグのA契約、B契約の実情については私もはじめて目にするもので、貴重な情報提供に感謝したいと思います。また行間からサッカーとJリーグに対する愛があふれており敬意を表したいと思います。
その上で個別の話題についてですが、まず

申し訳ないが、前面的に書きなおす必要があるような内容ですね。
元にしている各種の数字が全然違う為、推敲・推測がまとはずれです。
特にタスクフォース・川渕氏へのあてこすりは間違った内容をベースにして批判してますので謝罪ひつようなレベルかと思います
色々間違っていますが、書き出すと大量にあって大変なので数点だけにします。
まず、最低年俸1000万
これが、そもそも間違いです。
川渕さんの発言は最低『平均』年俸1000万です。
殆どの大手マスコミは平均を省いて報道してますが、
NHKなど最初から平均を入れて報道しています。
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/sports/basket/all/2015/columndtl/201501280005-spnavi?page=3
最低1000万と平均1000万では全然違いますよね。
最低1000万をベースに長々と書いてますね。
根本から見直し必要ですよ

まず事実関係を整理しますと、yellow氏が引用しておられるNHKの記事は1月29日に初回のタスクフォースにあたって行われた記者会見です。そこに川淵氏の発言として以下の記載があります。

…選手のサラリーキャップbjリーグは6800万円か7500万円と聞いています。NBLは1億5000万円ですね。しかし少なくとも、選手の年俸は最低でも平均で1000万円くらいをもらわないとプロと言えないのではないかと思います。それ以下では魅力のあるチームになるわけがない。…
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/sports/basket/all/2015/columndtl/201501280005-spnavi?page=3

NHKの報道を信用すれば、bjもNBLも、選手の年俸が最低でも1,000万円くらいでなければ魅力的なチームにはならないということですから、どちらのリーグにもチームの平均で最低1,000万円、という趣旨だろうと思います。これについては私も大いに賛同するところであり、実際先日のエントリでも平均1,000万円くらいになるように育成枠とか作ったほうがいいと長々と書いているわけです。
さてこれに対して、私が先日のエントリで参照したのは、3月4日の第2回タスクフォース会合に前後して行われた取材や会見をもとにした記事です。これらの記事では、主要メディアはすべて「最低年俸」と報じており、チームの「平均」と報じている例はありません。
この段階で主要メディアが共通して報道している内容を疑う理由は私にはなく、エントリにおいてもどの記事を参照しているかを明記しています。つまり根拠のある情報である「最低年俸1,000万円」をもとに議論しているのであって、もちろん(ご質問でもありますのでご回答しますが)「最低でも平均で1,000万円」をもとにした議論をすれば全然違う・別のものになると思いますが、しかしその時点で・この記事をもとにした議論なのですから、全(?)面的に書き直す必要はまったくないものと思います。ある時点でわかっていることを基に文章を書いたところ後からその内容に影響する新しい事情が判明するといったことはまあざらにあることであり、それで前の文章を書き直さなければならないと言われたら図書館の300番からまあ699番くらいまでの棚に入っている本はあらかた書き直さなければならなくなるわけでね。

  • もちろん、今回の場合は結果的に(朝日新聞の記事を信用すれば)最低年俸は1,000万円から300万円に引き下げられたので、それにともなって今となってはこの「推測がまとはずれ」になっていることも事実です。

>「20歳以下の選手を1クオーターに必ず1人起用する」という要件も
>あげられていて同様の趣旨と思うのですが、
>しかし20歳で年俸1,000万円のレベルに達している
>選手というのも相当に例外的ではないかと思います。
今検討されている、最低年俸は300万です。
さて、20歳で年俸300万円のレベルの選手、極端に少ないでしょうか?

これも同じ話で(私は300万円という数字も今朝の新聞で知ったのですが)、質問文になっていますので回答すれば20歳で300万円レベルの選手は極端に少ないということはないでしょう(bjには高卒選手もいるので最低年俸をクリアすれば300万円にはなる)。ただ私「20歳で年俸300万円のレベルの選手、極端に少ない」なんてどこかに書きましたっけ?私が書いたのは「20歳の選手と1,000万円で契約して出場させる」ことに無理があるという話で、300万円での契約なら十分あり得るだろうと思います。

Jリーグの年俸仮説も全然違いますね。
まず、J1でA契約24名いないチームは殆どありません。
また、J2でも8割以上のクラブが24名います。
それどころか、A契約選手が24名以上のクラブは、約20クラブ存在してます。多いクラブだと30名近くのA契約選手がいます。
今年のJ2だと8クラブが24名以上のA契約選手がいます。
これは、自クラブのユース出身でユースから直接昇格した選手は
A契約でも一定年齢まで24人の枠外として扱われるルールがあるからです。
頑張って、地元の子を育成してきたクラブを優遇する考えです。
まあ、高校年代にもなると親から離れて地元外のユース行くのも増えるので地元の子とは言えないのも多数ありますが、少なくとも育成はしているわけです。
以前は、最低年俸を決めていましたが、大分前に撤廃しました。
クラブの財政という問題もありますが、それ以上にB契約選手は
移籍の自由度がA契約選手、C契約選手と比べて高くなっており
J1の強豪クラブでB契約を提示されたなら、J1下位やJ2に
移籍してA契約を勝ち取る流れが普通になっています。
また、クラブもB契約を何年も続けるなら解雇すべきと言う
考えがスタンダードになってきてます。
何年もB契約しかできないなら外でA契約を目指すか
プロとして日本でやるのは諦めなさい。という考えです。

A契約の人数やユースの優遇など、これは非常に興味深い情報提供でした。ユースのシステムを確立していく上ではユース出身者に一定の優遇を与えることはたいへん理にかなっていると思いますし、J1昇格をめざすチームであれば選手の契約もJ1と同じようにしておくというのも合理的と思います。
ということでたいへん貴重な情報提供で感謝申し上げますが、ただ私としては実態の人数が何人だということを書いたつもりはなく、「こういう制度になっている」ということと「その背景にある考え方はこういうものだろう」という仮説を書いているのでありまして、それが全然違うということであれば(違うのでしょうが)、どこがどう違っているか教えていただけるとたいへんありがたいと思います。むしろ私は「現実には大半はAとCで占められているのではないかと想像されます。J1のチームでB契約が余儀ない選手はJ2のクラブなどにチャンスを求めて転出するのではないでしょうか」とか、最低年俸廃止にふれなかったのは手抜かりとしても480万円という数字も出して「J1のクラブに在籍する選手については少なくとも1クラブ15人は480万円が事実上の最低年俸になっているのではないか」(少なくとも15人なので24人も27人も含まれます)とか、yellow氏のコメントと同趣旨のことをずいぶん書いているような気がするのですが。
ということで、

特にタスクフォース・川渕氏へのあてこすりは間違った内容をベースにして批判してますので謝罪ひつようなレベルかと思います

といわれますが、まあ口の利き方が悪くて気分を害されたということであればそれについてはお詫びしますしご容赦願いたいのですが、すべて一応信用に足る根拠のある情報をもとに書いていますので、間違った内容をベースにしているから謝罪せよと私に求めるのは筋が違うと思います。仮にこの趣旨で謝罪を求められるなら日経新聞に対してでしょう。

  • なお私には「平均」のあるなしに関するNHKの記事や日経新聞の記事(や他のメディアの記事)の正確性については「わからない」としかいいようがありません。どちらかが間違っているのかもしれませんし、両方正しい(1月時点では平均はあったが2月時点ではなくなっていた)可能性もあると思います。ただ、邪推をすれば最低年俸1,000万円と数字まで出して報じているのは日経と朝日だけなので、日経がなにか勘違いしたところに朝日が追随したという図式の可能性が高そうかなとなんとなくは思いますがしかし日経の人や朝日の人に怒られるかなあ。

なお、

これに対して、野球は移籍の自由が一切ありません。
活躍して、年俸も億を越える方が7年(うろ覚え)で
フリーエージェントを取りますが、2軍の最低年俸選手は
何年たっても自分が外の球団でなら活躍できると思っても
それが事実であっても移籍は一切できません。
労使の事を考えるなら、移籍の自由度・契約・育成(子供のときから金をクラブが出して育成してもらった)等々含めて
考察すべきです。

これはまったくそのとおりと思います。エントリでは野球とサッカーをベンチマークしてバスケットボールの話を書いたので野球とサッカーの比較などには立ち入っていないのですが、就労条件についてはさまざまな事情をパッケージで考慮すべきということはこのブログでも繰り返し書いているところです。
そうした中で、プロスポーツ選手についても、最低年俸は保障されるが移籍の自由が制約される契約にするのか、最低年俸の保障はないが移籍の自由が確保された契約にするのか、いろいろなあり方があって、基本的には当事者の合意で決定すべきものだろうと思います。そして労使間には力関係に大差があるので集団的労使関係が重要であることも言うまでもありません。
したがって、私個人としては自由が好きで多様性と選択が大切だと思う人なので正直言ってプロ野球の画一的・硬直的な統一契約が好きではないのですが、しかし労働組合としての組織も実績も十分な日本プロ野球選手会が交渉・協議を通じてそれでよいと合意に達したものであればそれは尊重されるべきであり、外部からあれこれ口をさしはさむことではないと考えているわけです。サッカーについてはまた怒られそうなので書きません(笑)
最後に、yellow氏の2回めのコメントについて書いておきたいのですが、まず私自身も私の得意分野で妙なことを書いている人がいると遠慮なく叩いているわけですが、しかしそれは○氏とか○○先生とかあーこらこらこら、いや一般論として専門家を自称自任している人に限るということをお断りしておきたいと思います。でまあ私は一連のエントリで自分がサッカーに詳しいとか、ましてや専門家であるなどとは一言も言っておらず、むしろ断言を避けて推測文を中心にするなど素人らしい書き方に配慮しているはずです。ということで私自身の一貫性を担保したうえで、さて。

そもそも最低年俸1000万でなく
最低平均年棒1000万と言っていますよ。
サッカーの話もA契約の人数制限外扱いのユース卒枠
とか知らない上に勝手に最小人数とか決めつけて計算ですか(苦笑)
余りにも無知な内容が並んでいて呆れます。
スポーツの労使、年俸の事は書かないほうがよいせしょね。
撤回した方がよくないですか

これは要するにサッカーのことをろくに知らない奴はサッカーについて四の五の書くなということですか?だから撤回しろと?
まあ今回私が多忙だったこともありコメントの公開が遅れましたので(申し訳ありません)あまりお考えにならずにご催促の意味で強い表現を使われたのだろうとは思うのですが、現実をみればweb上(に限らないが)の言論の大半は素人による専門分野外に対する発言で占められているわけです。スポーツに関しても、たとえば野球ファンが書いているフェイスブックとかブログとかたくさんあるでしょうし、その中には「あそこは送りバントがセオリー、盗塁なんて無謀だ」とか「あの場面あの打者でストレート勝負はないだろう」とか、あるいは「今年のドラフトはなにより左投手だ」とか、戦略や戦術、あるいは強化方針について書いているものも多いでしょう。そういう人たちに対しても、あなた方は素人なんだから解説は評論家に任せて四の五の言わずに観戦応援しなさい、と言うつもりですか?むしろ、素人であってもあれこれ言えるところがスポーツの楽しみであり、それを否定するのはプロスポーツの自殺行為に等しいと思います。
なおスポーツを離れて一般論としても、そうした考え方が広まった社会というのはかなり危なっかしい感じのする社会のように思います。素人は口出しするな、専門家にまかせておけ、と言い続けた結果が福島第一原発の現状だ、ということを言う人もいます(私が言っているわけではありません)。
サッカーを愛する方、詳しい方、専門の方が集まるコミュニティでて楽しく過ごされるのはたいへん結構なことだと思いますし大いにおやりになればいいと思いますが、そうでない人たちへの寛大さというものがあってくれるといいのですがなどと思ったことでした。