どっちもどっち

しばらくの間伊豆と信州で山籠もりをしておりました(謎)。大雨には弱った。
さてこの間も世間ではいろいろなことが起きているわけですが、なんかいわゆる「残業代ゼロ」が国会審議でもとりあげられていて民主党山井和則衆院議員のツイッターが大変に話題になっていると聞いたので読んでみたところこんなツイートを発見したわけです。

山井和則 @yamanoikazunori 6月4日
「生産性が上がる素晴らしい制度と言うなら企業だけでなく公務員にも残業代ゼロ制度を導入すべき」と柚木議員が追及すると田村大臣や答弁席の10人の厚労省官僚が一斉に「とんでもない」と手を振って拒否。ひどい制度だと官僚もわかってます。#fb pic.twitter.com/is13MDALBq
https://twitter.com/yamanoikazunori/status/474217774248521728

いやそりゃ違うでしょうと思ったところなんとこのツイートが1万2千回以上リツイートされ、3千人近くがお気に入りに入れているという数字をみてコーヒーを吹きました。ウェブ上の掲示板とかでも火を噴いているようですが余計なお世話ではありますが恥をかくだけだからやめておいた方がいいと思うなあ(もちろんこんなひどいツイートがあるよということでリツイートした人もいると思いますが)。なにが恥ずかしいかというとこのツイートは霞ヶ関の就労実態がまったくわかっていないかまたはわかった上で世間をあざむくために事実と異なる宣伝をしているものであり、リツイートする人も同断であることになってしまうからです。霞ヶ関ブロガーのみなさまにはぜひとも啓発の声をあげていただければと思います。
もちろん本ブログの読者のみなさまには周知のことですが、霞ヶ関の・国会審議に同席するような官僚であれば昔から山井・柚木両先生やらのいわゆる「残業代ゼロ制度」に事実上なっているわけであり、手を振ったというのも拒否ではなく「いやいや私たちとっくにそうなんですけど」さらには「こいつらわかってねえんだな」あるいは「知った上で言ってるのかよ」という意味であることは明らかでしょう。霞ヶ関のキャリア官僚(と一部のノンキャリ)が怒涛のように長時間労働であることは彼ら彼女らの話を聞くまでもなく深夜0時に霞ヶ関界隈に出向けば一目瞭然であり(その原因の相当割合は議員の振る舞いにあることも周知)、それに対する残業代については十分な予算が計上されているわけではないこともまあ周知であり、以前毎年フォローしていたように(http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20110922#p1労働組合もその実態を問題視しているわけです。
ただまあ予算の範囲内で残業代は支払われるので残業代ゼロではないことも事実で、そういう意味では官僚にその残業代予算までゼロにしろといえばそりゃやめてくれという話にはなるでしょうが、これってそういう話ではないですよねえ。
そこで柚木先生は書店勤務から議員秘書を経て議員になられた方であり、山井先生は松下政経塾あがりなのでかつての野党時代ならまあ知らないものは仕方ないよねえですむ話だったかもしれませんが(それでも相当に程度は低いなとは思いますが)、いまや両先生とも与党時代には政務三役を歴任されている(しかも山井先生は厚労政務官)わけなので、それでもなおこういう発言が出てくるというのは

  1. 政務官の地位には就いたが仕事をほとんどしていなかった。
  2. 政務官の仕事をしていたのに官僚の働き方の実態が理解できなかった。
  3. 官僚の働き方を承知したうえでこうした質問をすることのバカさ加減に気付かなかった。
  4. 官僚の働き方を承知したうえで世間を欺く質問・ツイートをなした。

このくらいの可能性が考えられると思いますがどれがいいですか。なんとなく知的レベルが高そうなのは最後の選択肢だと思うのですがどれが彼らにとって有利な解釈なのか迷うことしきり(うそ)。
ということで、この件に関しては推進派の論旨もいいかげん混乱していて何とかならんかという状況だということはこのブログでもさんざん書いてきましたが反対派のほうも似たようなもんだということのようで、いや本気で反対している人はこういうツイートに乗せられちゃいかんと思うのですよ。論争的なテーマだと思いますし賛否両論おおいに議論すべきと思いますが、それ以前の状況のようです。困ったものだ。
ちなみに件の質問に対して手を振った後の答弁のほうですが、当然ながら「いや実態はすでにそうでして」などと回答できるわけもなく「今回は公務員の制度ではないので関係ない」という趣旨のものだったようで、まあ一枚上だよなという感じです。