労働条件分科会

土曜日に所用あって原宿の代々木第2体育館に出向いたのですが、ちょうど反原発と思しき方々がデモ行進しているのと遭遇しました。ふだん目にするデモ行進と異なり、太鼓や鐘を調子よく鳴らしての景気のいい行進で、まあ世間にご迷惑のない範囲であれば盛り上がるのもよろしかろうなどと思って見ていたのですが、第2よりはるかに大きい代々木第1体育館に韓国の人気バンドのコンサートで多数のファンが集まっているのをみて、そういえばあれって韓国の労組のデモ行進と似ているなと思いつきました。ソウルではただでさえ交通渋滞がひどいところ鳴り物鳴らして労組のデモが練り歩くと交通に決定的な支障をきたすという話も思い出し、まあわが国ではそこまで交通への悪影響がないのはインフラ整備の成果なのかあるいは動員力の格差が段違いなのかなどとも思ったわけですが、しかしデモ行進まで韓流が導入されるとなるとフジテレビの前で騒いでいる人たちはどう思うのやら。
さて余談はさておき有期雇用に関する労政審労働条件分科会の議論が終盤に差し掛かりつつあるようで、本日の会合では報告案も提示されたようです。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001ynzj-att/2r9852000001yo3h.pdf
この問題は論点が非常に多く、またやりようによっては労使慣行や労働市場に大きな影響が発生する可能性が高いこともあり、労使の見解にも相当の隔たりがあるだけでなく、労働側・経営側がそれぞれに内部でも大きな意見の相違があるわけで、意見の集約は難しかろうとの見方が多かったと思います。分科会でも案の定労使がそれぞれの論点について双方の言い分を一通り主張するだけでも相当の期間を要し、年内に取りまとめをしようとすれば労使でなんとか折れ合えるわずかな部分にとどまるだろうという見込みはこれまでも書いてきました。
ということで今回の報告案をみても、入口規制はまあ見送り、出口規制は設けるものの何年とするかはまだペンディングという書きぶりになっています。さらに、出口規制を設けた場合のクーリング期間については、なにかも規制はしたいけれどさてどうすればという感じになっています。どうも勤続が長いほどクーリング期間も長くしたいような印象があるのですが、しかしクーリングを長くすればするほど働く人にとってはその分同じ企業で再就労するチャンスがなくなるわけなので、さてクーリングが長いのがいいことかどうか。まあ短期のクーリングで長期にわたって有期就労が続くというのは避けたい、なんとか期間の定めのない雇用に持ち込みたいという気持ちはわからないではないのですが、しかし働く人にとっては同じ企業で再度働く可能性を狭めることになることも間違いないわけで、本当に働く人のためになる規制なのかどうかは疑問に思わなくもありません。
あと、雇い止め法理については法制化する方向が打ち出されていて、しかし上限規制を設けるのであれば必要性はあまり高くないのではないかなあという気がしないでもありません。まあこのあたりは実害がないという意味で労使の合意を稼ぎやすい部分なのかもしれませんが、しかし過去書いてきたように、ここはむしろ有期労働契約の長期化を促す(雇い止め法理を回避するための予防的な雇い止めを減らす)方向で労使がwin-winになれる可能性もあると思っていますので、やや残念な感もあります。