大内伸哉『君は雇用社会を生き延びられるか』

明石書店の深澤孝之さんから、大内伸哉先生の最新著『君は雇用社会を生き延びられるか−職場のうつ・過労・パワハラ問題に労働法が答える−』をお送りいただきました。ありがとうございます。

夫をくも膜下出血でなくした妻が労災申請しようと労働法を学び始める…という設定の本です。労災の話のあとはそこからの連想で長時間労働やハラスメントへと展開し、法律や判例の解説を中心としながら、コラムなどでは今日的な話題を数多く論じています。人事労務のネガティブな部分を労働法の切り口から総括したという趣の本ですが、この手の本にありがちな(本当か?)「企業はあらゆる労働者を排除し、排除しなかった労働者は死ぬまで酷使するものだ」といったような決めつけとは当然ながら無縁であり、随所で建設的な問題提起がされています。