埋蔵電力

またしても下世話な居酒屋政談ネタです(笑)。昨日名古屋に出張しまして上掲書はその際の新幹線車中で読んでいたのですが、ちょうどスズキの湖西工場近くを通過しているときに思い出した話がありましたので、連日のネタで気はさすのですがここで腹いせに(笑)書いておきます。なにかというと標記埋蔵電力の件なのですが、一週間前の日経から。

 菅直人首相は7日の参院予算委員会で、電力需給について「自家発電がどの程度、稼働可能なのかを、経済産業省に点検するよう指示している」と強調した。原発再稼働を取りやめても、使われていない既存発電所や企業が緊急時に備えて保有する自家発電設備をフル活用すれば「電力不足を補える」と首相周辺は期待をかける。
 首相は10日ほど前から自家発電に急に強い関心を示し、4日には経産省の松永和夫次官ら幹部を呼んだ。分厚い資料を抱えて「全国から届け出があった6000万キロワットのうち、使えるのは180万キロワットしかありません」と説明した松永次官を、首相は「そんな話には納得できない。もう一度ちゃんと調べてこい」と追い返した。翌5日には国家戦略室の官僚にも精査を命じた。
 6日、衆院予算委でみんなの党渡辺喜美代表が自家発電の余剰分である「埋蔵電力」の活用を、と質問すると、首相は「埋蔵電力は魅力的な言葉だ」と呼応した。

 「埋蔵電力」に意欲を示す首相が代表を務める民主党は「『埋蔵金』などを活用して約16.8兆円の財源を捻出できる」と公約したが、実現には程遠かった。
平成23年7月7日付日本経済新聞朝刊から)

さて浜松−豊橋間の東海道新幹線を利用された方はご記憶と思いますがスズキの湖西工場を通過する際に2基の風力発電機が見えます(新幹線から見えるのは2基だけのようですがもっとあるかもしれません)。当然ながらあれはスズキが手前で使うために発電しているわけであって、それを電力不足対策でアテにされても困るのではないでしょうか。もちろん本当に非常時を想定して遊ばせている施設というのもあるでしょうが、記事にもあるように老朽化などの問題もありそうで、6000万の届出のうち遊んでいてかつすぐに安定的に使えるのは180万というのはまずまず納得できる話です(しかもそれを稼動させていて本当に非常時になってしまったらどうしてくれるのかという話もあります)。
それも気には入らないのですがもっと気に入らないことがありまして何かと申しますと、それでもまあ「埋蔵金」のほうはああいう使い方がいいかどうかは別にして(いや本当に余っているなら国債の償還にあてるべきであってよくないに決まっているのですが)、まだしも国庫のカネではあり、国会がそれを流用するという予算を組むというのであれば私たち国民が選んだ選良たちのやることだから仕方ないのかなあと気に入らないながらもあきらめるわけですが、自家発のほうは民間の持ち物なのですから為政者がそれを国が自由に利用できると当然のように考えているのはまことに気に入らないわけです、保守おやじである私としては。まあそういう法律をつくるというのなら仕方ないのは同じことなのですが。
で、首相はああいう人で普通の精神状態ではないようですからこらこらこら、えーと何言ってもわからないようなので致し方ないにしてもみんなの党まで同じ調子じゃいかんでしょう。私は別にみんなの党を支持しているわけでもなんでもない(というか税制などに関してははっきり不支持)わけですが、それにしても「当たり前の自由社会」を希求する(と言っていたと思いますが)保守政党のほうから私有財産を召し上げましょうと言い出すというのはまずかろうと思うわけです。