峰隆之『震災に伴う人事労務管理上の諸問題』

労働開発研究会の末永さんから(だと思う)、峰隆之『震災に伴う人事労務管理上の諸問題』をお送りいただきました。ありがとうございます。

震災に伴う人事労務管理上の諸問題

震災に伴う人事労務管理上の諸問題

峰先生は第一協同所属の経営法曹で、労働法の解説書などを多数執筆されていますが、今回の本のオビには「元電力社員の弁護士」とあってへえそうなんだ。大学卒業後に東京電力に勤務されていたそうですが、昭和62年に入社されて平成4年には弁護士登録されているので、当時の司法修習は2年間ありましたから、東電での実際のキャリアは3年ないくらいじゃないかな。
ということで、この本を読んでみても電力に関する記述があるのは実は最後の章で節電対応とその際の留意点について書かれた部分だけです。いやオビをよく見ると「元電力社員」と大関くらいの字で書いてある反対側には前頭くらいの字で正直に(?)電力会社での勤務歴という筆者の経験に基づき、節電対応と勤務体制の見直しについても読みやすく解説」と書いてあります。なるほど休日シフトがなぜ節電(というかピークカット)になるのかという説明はさすがに土地鑑のある人らしくわかりやすく書かれています。さすがに峰先生は数年の経験だけをもとに政府や企業を批判するようなバカな真似はしておられませんね(笑)。
内容的には震災発生時、発生後の非常時におけるさまざまなイレギュラーな対応や、震災にともなう移転や休業、取引の打ち切りや雇用調整のなどの対応における留意点の解説が読みやすくまとめられていてさすが手馴れたものだと思いながら読んでおりましたが、234ページある本の84ページですでにいよいよ本書も最終章に入りましたとの記述が出てきます。要するに本文は112ページまででそれ以降(つまり半分以上)は主に役所の資料をコピーした「資料集」になっていて、それを参照しながら読むという編集になっているのですね。もちろんこれだけの資料を集めるのも手間ですしバラバラに持っていると必要なときにあれどこに行ったという話にもなるわけですので、解説とともにこのようにコンパクトに一冊にまとまっていれば便利であるには違いないでしょう。まあ短期間でまとめるための手法ということでしょうか。