産別の足並み揃わず

今朝の日経新聞で、来季春季労使交渉に向けた労組の動きがいくつか報じられていました。

 自動車や電機、鉄鋼などの産別組合で構成する金属労協IMF―JC)は7日、2011年の春季労使交渉に向けた闘争方針を決定した。厳しい雇用環境が続くなか、労働分配率の向上を求める方針を確認。定期昇給分を確保し、賃金水準の維持を目指す。賃金改善の要求は産別組合の判断に委ねる。
 傘下の各労組が個別に決める一時金は「年間5カ月分以上の要求を基本」に、最低でも「年間4カ月分を確保」すると明記。業績回復を念頭に、昨年の「5カ月分を基本に」との表現から一歩踏み込む形となった。非正規労働者の賃金・労働条件改善も目指す。
(平成22年12月8日付日本経済新聞朝刊から、以下同じ)

 電機各社の労組で構成する電機連合は7日、2011年の春季労使交渉に向けた執行部案をまとめた。定期昇給にあたる賃金構造維持分の完全実施を争点とする方針。賃金改善の統一要求は見送る。派遣など非正規雇用もふくめた全労働者の待遇改善も強化する。

 日本私鉄労働組合総連合会私鉄総連)は7日、東京都内で第1回の中央委員会を開き、2011年春の労使交渉で統一的なベースアップ(ベア)2500円を求める方針を確認した。基本給を1人平均で2.0%引き上げること(定期昇給に相当)も要求する。2月に開く中央委員会で正式に決める。
 ベア・基本給の要求水準は10年春の労使交渉と同じ。景気低迷で環境は厳しいが、賃金水準の低下に歯止めをかけるためとしている。

連合はベースアップの統一要求は見送り、かわって「賞与(一時金)・各種手当なども含めた総支給額の1%引き上げ」という方針を打ち出しましたが、産別の足並みは必ずしも揃っていないようです。金属労協は産別自決ということなので、ことによると産別によっては連合の共闘方針に沿った要求をつくるところもあるかもしれませんが、とりあえず有力単産である電機連合は賃金改善要求は見送るようですし…まあ、賞与要求を引き上げて対処するのかもしれません。
これに対して、私鉄総連の「ベア2,500円」は、これは連合の「1%」をすべてベアで取ろうという要求のようです。
まあ、昨今の経済情勢からして、なかなか足並み揃えて「1%」要求とはなりそうになく、連合としても今回はかなり緩やかな共闘という取り組みになるのではないでしょうか。
それはそれとして、「賞与や諸手当を含めた総支給額」というのは、経団連など経営サイドが一貫して主張している「総額人件費管理」に歩み寄ったようにも見えるところが面白いところです。まあ、連合には当然そんなつもりはないでしょうが…。