JR東日本、契約社員5割増

今朝の日経から。「契約社員5割増」という見出しにまず驚いたわけですが…。

 東日本旅客鉄道JR東日本)は2011年度をメドに、駅・旅行業務に携わる契約社員を現在に比べ56%増の2500人に増やす。志望者で試験に合格すれば、将来正社員に登用する。最新鋭機やインターネットの導入で、今後、窓口などの人員縮小が見込まれることから、正社員以外の雇用形態を増やし機動的に人員配置できるようにする。
 採用を増やすのは「グリーンスタッフ」と呼ぶ契約社員。「みどりの窓口」での切符販売、改札での運賃精算、案内、旅行商品の窓口業務などを担当する。高卒以上が条件で、年間500―600人を募集する。採用後は東京、横浜、千葉など首都圏の主要駅に配属。契約は1年ごとに更新する。
 同社は全従業員63000人のうち約98%を正社員が占める。運転や設備保守など「安全運行に関わる業務には非正社員はなじまない」(人事部)とし、他業種に較べて契約社員の活用は進んでいなかった。
(平成20年11月13日付日本経済新聞朝刊から)

「全従業員63000人のうち約98%を正社員が占める」これにも驚きました。契約社員が56%増で2,500人ということは、現在は1,600人で、全従業員63,000人のうち契約社員1,600人を除く全員が正社員とすると、なるほどたしかに約98%が正社員となります。まことに驚くべき正社員比率です。JR東日本の長期雇用に対するこだわりについては、以前このブログでも紹介したことがありますが(http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20060823)、それにしてもこれほどとは思いませんでした。

  • というか、JR東日本というと相当数のアルバイトが働いているという印象がありますが(そうでもないのか?)、これはどうカウントされているのでしょうか?従業員としてはカウントされていないのか、あるいは別会社での雇用といった形になっているのか…。

 JR東日本は、繁忙期と閑散期、あるいはラッシュアワーとそれ以外などの業務量格差はかなりありそうですから、ここまで硬直的な人員構成になってしまうと、シフト勤務や変形労働時間制などを活用してもなおかなりの非効率が発生しそうな感じがしますが、大丈夫なのでしょうか?(まあ、カウント外のアルバイトなどで対応しているということかもしれませんが…)あるいは、非効率より安全が大事だ、JR西日本をみてみろ、ということかもしれませんが、JR東日本といえば公益的かつかなり自然独占的な企業ですから、過剰品質を価格転嫁されて高いサービスを買わざるを得ないというのは消費者にとってはあまりハッピーな状態ではないと思うのですが…。そういう意味では、契約社員が増え(て経営が効率化して料金が下が)ることは利用者にとっては歓迎すべき取り組みということになります。契約社員を増やすのはけしからん、という意見ももちろんあるでしょうが、そこには「他人の雇用を安定させるために自分はいくら余計に料金を払うつもりがあるか」という悩ましい問題が横たわっているわけです。
 まあ、人数が56%増えても全体の中での比率としては4%程度で、世間の非正規比率に較べればずいぶん低いですし、正社員登用もするということなので、これだけではそれほど効率化効果は上がらないかもしれません。そういう意味では、これがさらに広がるのかどうかが注目されます。