晩酌もプラモデル作りも労働時間

きょうの産経新聞から。

 マンションの住み込み管理人に対し、時間外労働の賃金をどこまで支払うかが争われた訴訟の差し戻し控訴審判決で、東京高裁は9日、大阪市の管理会社に約420万円の支払いを命じた。
 管理会社側は、管理人室での晩酌や夕食後に趣味のプラモデル製作に充てた時間は残業時間から除くべきだと主張したが、宗宮英俊裁判長は、「この間も必要になれば、住民らへの応対などの業務に当たる『待機中』で、残業時間に含めるべきだ」と指摘した。
 一方、病院への通院や犬の散歩は「業務と無関係の私的行為」とし、労働時間と認めなかった。
 判決などによると、原告はさいたま市の女性で平成9〜12年、死亡した夫と一緒に東京都北区のマンションの管理人をしていた。平日は「待機時間」も含めて午前7時から午後10時まで業務に当たったが、「本来の残業代が支払われていない」として、管理会社に計約4000万円の支払いを求め提訴した。
(平成20年9月10日付産経新聞朝刊から)

この判決はまだ見当たらないようですが、差し戻しを命じた最高裁判決がみつかりました。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20071204153505.pdf
使用者の拘束下にある待機時間は労働時間というのは一応通説でしょうからそれはそれとして、記事だけみるといかにも労働者勝訴にみえますが、実際には一部敗訴なんですね。「1、2審は犬の散歩も残業時間に含めると認定し、それぞれ800万円、640万円の支払いを命じたが、昨年10月の最高裁判決は認めず、日曜日は実働時間に限ると判断。」ということで、最高裁に値切られてしまったというのが実際のところのようです。
それにしても、待機中にプラモデル作りはともかくとしても、晩酌というのはいかにも行き過ぎというのが常識的判断だろうと思いますが、これはおそらく就業規則などに待機時間中の飲酒を禁止する根拠が明示で規定されていなかったためではないかと推測します。このマンションの住人は、管理人になにか頼もうかと思ったら酩酊していた、なんて目にあわされていたのでしょうねぇ。普通、そういうのはやはり職務態度としては好ましくないわけで、待機中の飲酒を禁止することはおおいに合理的だと思うのですが、黙認されてきたのでしょうか。