労働審判の使い方

きのうの毎日新聞から。

 ガソリンスタンドでアルバイトをしていた3人が4日、労働組合への加入を理由に解雇されたとして、地位確認などを求める労働審判東京地裁に申し立てた。
 3人の弁護士によると、アルバイトが解雇撤回を求めて労働審判を申し立てるのは極めて珍しいという。非正規雇用で生計を立てる労働者が増えたためとみられる。
 申し立てたのはフリーター全般労組ガソリンスタンドユニオン分会長の勝間田翔さん(26)ら。申立書などによると、3人は神奈川県相模原市の大昭石油東林間店で勤務していたが、今年1月労働時間を減らされ、収入が8万円減ったため、生活苦となり、労組を結成して会社と交渉を求めた。しかし労組の結成を通告し3日後に会社から解雇予告が通知された。
 勝間田さんは「アルバイトだからと言って、一方的に使い捨てにすることは許されない」と話している。大昭石油は「申立書を見ていないのでコメントできない」としている。
(平成20年6月4日付毎日新聞夕刊から)

これだけガソリン価格が上がるとガソリンスタンドも経営がたいへんでしょうが、労組加入→解雇(と記事にはありますが、雇い止めではないかという気もしますが…まあここでは同じことですが)はさすがにまずいでしょう。これはおそらく復職で和解を勧められるでしょうし、和解しなくても早期に復職させよとの審判が出るでしょう。これは、合同労組が労働委員会に持ち込むという従来のパターンに較べればはるかに時間も手間もかからず、労働審判制導入の効果と申せましょう。
ただ、もう少し踏み込んで考えると、復職したといっても労働時間や賃金が元にもどるかというと、それはまた別問題なわけですね。フリーター全般労組がどこまで面倒をみてくれるのかは知りませんが、経営環境を考えれば使用者としてもそれほど簡単に言い分は飲めないでしょうから、労使ともに今後の調整に多大な労力を要することになりそうです。
そのくらいなら、実は労働時間を一方的に減らされた段階で、労組に加入せずに即座に労働審判に行くということも考えられたように思います。まあ、一般の労働者が自力で労働審判というのは難しいでしょうから、それなりに代理人を頼る必要があり、となると労組が頼みやすいというのはあるかもしれませんが、しかし外部者が入り込むとなにかと話が難しくなりがちですし…。
あるいは、復職した時点で、今度は一方的な不利益変更の撤回を求めて労働審判、という方法もあるかもしれません。